家庭の中で学ぶ大切なことの1つに「優しさ」があります。
優しさは、本から学ぶことも、テレビを見て学ぶことでもありません。
家庭の中で学ぶことです。
では、具体的に、家庭のどこで学ぶかというと、父と母を手本として見て、学ぶのです。
「母のことを大切にしている父」と「父のことを大切にしている母」の2人を見て、子どもは優しさの本質について学びます。
私の父は、いつも母のことを気にかけている人です。
レストランへ食事に行ったときにも「お母さんは何を食べるの」と、優しく話しかけます。
自分のメニューはまだ決まっていないのに、母のことを気にかけます。
店員さんに「皿もう1つ持ってきて」とお願いして、母の分まで取り分けます。
母も、普段から父を気遣う人でした。
私と母が、デパートへ洋服を買いに行ったときのことです。
母は自分の洋服を買いにデパートへ行ったのですが、店内を見て回るうちに「お父さんに似合うかな」と、私に聞き始めます。
自分の服をまだ選んでいないうちから、父が似合う服を見つけて、子である私に「似合うかな」と聞いてきます。
「お母さんは自分の服、買いに来たんでしょ」と私は言います。
母は自分の服を買いに来たのに、父の服を選んでいる母を見て「本当に父のことを思っているのだな」と感じたものです。
思い合ったり助け合ったりしている夫婦を見て、子どもは、優しさの表現方法について学びます。
父は直接、子どもに優しさを学ばせることはできません。
母も直接、子どもに優しさを学ばせることはできません。
父は母に優しく、母は父に優しくしている姿を見せるだけでいいのです。
そういう姿を見て、子どもも優しさを知り、理解して、真似をしたくなるようになります。
いつも母のことを気にかけている父親を見て、私も優しさを学んでいったのでした。