電話をかけた際、不自然なやりとりがあって首をかしげることがあります。
相手が電話に出て、こちらが名乗ると「お世話になっております」と言われます。
「○○さんはいらっしゃいますでしょうか」と聞くと「はい、少々お待ちください」となります。
ここまではいいのですが、気になるのはここからです。
「もう一度お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」という流れになることがあるのです。
あらためて考えると、この流れは不自然です。
「お世話になっております」と言っておきながら、もう一度名前を聞くのは違和感があります。
つまり、相手が誰なのかわかっていないまま「お世話になっております」と言っていたということです。
「お世話になっております」というセリフが嘘だったことがばれます。
お世話になっていると思っていないこともばれます。
しかも、相手に名前を2回名乗らせることとなり、余計な手間をかけることにもなります。
「さっき名乗ったではないか。同じことを2回も言わせないでくれ」と思うでしょう。
場合によっては失礼な印象を与えかねません。
決まり文句であることはわかっていても、電話の開始早々から嫌な空気が流れるのです。
この不自然な対応は、ぼうっとしながら電話に出たときによくあります。
しっかり耳を傾けていないと、相手の第一声を聞き逃します。
「お世話になっております」という挨拶言葉は、お世話になっている人に言うセリフです。
電話対応の定番フレーズですが、だからといって誰にでも言っていいわけではないのです。
誰にでも「お世話になっております」と言わないことです。
電話が鳴って受話器を取れば、一般ルールから考えて、相手が名乗るのは十分わかっていることです。
しっかり耳を傾け、相手の第一声に集中します。
名前を聞き返すことがないよう、耳を澄まして聴覚に集中して、しっかり聞き取りましょう。
もともと耳が遠くて聴覚に自信がないなら、目をつぶりながら電話に出るのもありです。
視覚が遮断されることで聴覚が研ぎ澄まされ、聞き取りやすくなります。
相手の名前を聞き取り、お得意先だとわかれば、はきはきした声で「お世話になっております」と返します。
そうでなければ「お電話ありがとうございます」「お問い合わせありがとうございます」が無難でしょう。
相手の名前を聞き返すという失態もなくなるのです。