「想像力を鍛えるには、頭の回転を速くすればいいのではないか」
そう考える人もいるでしょう。
想像力は、脳で行われることなので、頭の回転とつながりがありそうな気がします。
もちろん頭の回転が速ければ、想像するのも速くなるでしょう。
素早くイメージを浮かべたり、素早く連想したりする点では、頭の回転は役立ちます。
頭の回転が、想像力に悪影響を及ぼすことはありません。
頭の回転も、遅いより速いほうがいいのは間違いありません。
想像力を鍛えるトレーニングと頭の回転を速くするトレーニングにつながりを感じる人も多いのではないでしょうか。
しかし、ここに誤解があります。
基本的に頭の回転と想像力は、別と考えてください。
かぶっている部分もありますが、厳密には違います。
頭の回転とは「思考のスピードが速いこと」をいいます。
たとえば、素早く計算したり、論理的思考が速かったり、スムーズに判断や決断をしたりなどです。
一方、想像力とは「イメージを思い描く力」をいいます。
たとえば、過去の出来事を思い浮かべたり、新しいイメージを創造したり、アイデアを生み出したりなどです。
どちらも脳を使った作業ではありますが、脳で使われる領域が異なります。
ざっくり言うと、頭の回転は「脳全体」で行われますが、想像力は「前頭葉」で行われます。
頭の回転を速くするトレーニングで、想像力も鍛えられるは限りません。
想像力を鍛えるトレーニングで、頭の回転が速くなるとも限りません。
どちらも脳を鍛えることに変わりなく、かぶっている部分もありますが、基本的に別物と考えるのが妥当です。
「想像力を鍛えるために、頭の回転を速くしよう」と考えると、的外れになる可能性が高い。
そのため、想像力を鍛えるトレーニングと頭の回転を速くするトレーニングは、別と考えたほうがいいでしょう。
頭の回転と想像力は、異なるものなのです。