自信のない人は、とにかくたくさんの物を持って、心の隙間を埋めようとします。
たとえば、部屋にたくさんの高級ブランド品や高級化粧品があるとします。
優れた高級ブランドは、品質がしっかりして長持ちします。
また、高級化粧品は品質の高い成分によって、最高の化粧効果を発揮できることでしょう。
「高級」という名にふさわしい、品質、技術、文化などがあるに違いありません。
しかし、それらは数多く持つ必要はありません。
自分という人間は、世界に1人しかいません。
足は2本、手は2本、体は1つです。
洋服にせよ、化粧品にせよ、日常生活において自分一人が消費する量は、それほど多くはないはずです。
にもかかわらず、部屋の中に高級品ばかりがたくさん存在するのは、少し不自然な状況ではないでしょうか。
高級ブランド品が20も30もある状態は、客観的に見て、1人が消費する範囲を明らかに逸しています。
「そんなにたくさん持ってどうするの?」という状況です。
なぜこうした状況になるのでしょうか。
この場合、高級品の機能や品質のために購入しているのではなく「別の目的」で購入していることが考えられます。
つまり、心の隙間を埋めるために購入していることが考えられるのです。
高級なものを持つことで、他人より上である優越感に浸って、心の穴を埋めようとします。
高級品を持てば、一時的に心が豊かになり、虚無感が改善されたように思えます。
しかし、購入したときの満足感は、一時的です。
ものは、心の穴を埋めてくれません。
しばらく経てば、また不安がよみがえります。
「もっと高級なものを持たなければいけない。たくさん持たなければいけない」と思い、さらに高級なものを、持とうとします。
それが繰り返された結果が、高級品が不自然に数多くある部屋なのです。
高級品ばかりを異常にたくさん持とうとするのは、それだけ心に穴が開いている証拠です。
高級品ですから、多額の費用がかかるばかりでなく、根本的な解決にもなりません。
本当に心の穴を埋めてくれるのは、ものではありません。
改善すべきは、持ち物のグレードではないのです。
人間関係です。
第一に家族関係であり、次に友人や職場などの身近な人間関係です。
本当に改善すべきところは、そこです。
身の回りを高級にするのではなく、身の回りの人間関係を温めることが大切なのです。