「こら! ダメじゃないか!」
叱ると言えばどのようなイメージを持っていますか。
欠点をとがめたり、怒鳴ったりすることだと思っている人が多いのではないでしょうか。
たしかにそういう一面もありますが、それだけではない。
叱るというのは、礼儀や作法を教えるためだけのものではありません。
「愛しているよ」という気持ちを伝えるという側面も持っています。
「叱る」と「愛する」は対義語のようですが、実は同義語です。
子どもが悪さをしたとき、父親は「子どもから嫌われるのは嫌だな」と思います。
そう思う必要はまったくありません。
叱るべきときには、叱ることです。
たとえば、思春期の子どもが門限を破って、深夜に帰ってきたとします。
「どこへ行っていたんだ!」
叱るのは「門限を守りなさい」という意味だけではありません。
「お父さんは本当に心の底から心配しているんだ」という気持ちを伝えるためです。
もちろん単に「こら!」と叱るばかりではなく、子どもを案じる言葉も含めましょう。
「本気で心配していたんだぞ」
「万が一のことがあれば、お父さんは生きていけない」
「お前のためを思って怒っているんだ」
鬼のような表情の中に、温かい愛が感じられます。
叱るのは愛を伝えるものです。
反抗期の子どもともなれば「うるさいなあ」と口答えしてくるでしょう。
しかし、自分のことを心配してくれているという愛は、少しずつ伝わっています。
表面的には反抗していても、きちんと伝わっているものです。