ときどき睡眠不足を自慢げに話す人がいます。
「仕事が忙しくて睡眠不足だ」
「昨日は徹夜で、4時間しか寝てない」
「いろいろやることが多くて、ろくに寝ていないよ」
睡眠不足を「頑張っている証拠」「素晴らしいこと」と言わんばかりに話す人がいるものです。
睡眠不足になっても、気合と根性で乗り切れると思う人がいます。
たしかに睡眠不足になったからといって、すぐ病気になるわけではありません。
眠気があっても気合と根性で吹き飛ばす。
コーヒーをがぶがぶ飲んで、カフェインの力で覚醒することも可能です。
寝ている時間が短いということは、それだけ起きている時間も長くなるということ。
睡眠時間を短くすれば活動時間が長くなって、人生の得につながると考える人もいます。
だからといって睡眠不足の悪影響を軽視しないことです。
睡眠不足は、立派なことでも褒められることもでもありません。
確実に言えるのは「睡眠不足は不健康」ということです。
睡眠不足の悪影響はさまざまです。
頭がぼうっとして思考力や集中力など脳のパフォーマンスが低下するのは当然ですが、悪影響はそれにとどまりません。
睡眠不足は免疫力の低下も招きます。
睡眠不足の日々が続くと、風邪を引きやすくなったり思わぬ病気を招いたりするでしょう。
また睡眠不足は肌にも悪影響を及ぼします。
肌の新陳代謝は28日周期ですが、睡眠不足の日々が続くと、新陳代謝が乱れて肌がぼろぼろかさかさになります。
驚くべきことに、睡眠不足は認知症のリスクにつながることが判明しています。
認知症は脳のごみと呼ばれる「アミロイドベータ」というタンパク質の蓄積が要因となって引き起こされます。
アミロイドベータは睡眠中に掃除されますが、睡眠不足になると掃除が不完全になって脳内に蓄積されます。
睡眠不足の日々が続くと、アミロイドベータの蓄積によって脳の神経細胞の死滅が加速されます。
脳機能の低下を招き、認知症のリスクを高めるのです。
睡眠不足の自慢をかっこいいと思わないことです。
「気合と根性で乗り切れる」というのは安易な考えです。
「寝たら解消される」と思わないことです。
睡眠不足は、たっぷり寝たらすべて解消されるわけではありません。
表向きは悪影響がないように思えても、まだ表面化していないだけの話であり、脳内では神経細胞のダメージが蓄積されています。
睡眠は人の3大欲求の1つですから欠かすことがあってはなりません。
「睡眠不足は不健康」という認識を強く持ち、日頃から十分な睡眠を心がけることが大切です。