初めてグランドキャニオンに行ったとき、全然期待はしていませんでした。
行くきっかけは、ささいなことでした。
留学していたロサンゼルスで、友人が誘ってきました。
「ちょっとラスベガスに行くけど一緒に行くかい。ついでにグランドキャニオンにも行く予定だよ」
「ついで」というところが、大切な点です。
あくまで「ラスベガス」が主目的でした。
「ラスベガス」というネームバリューが強すぎたため、グランドキャニオンへの期待が弱くなっていたこともあります。
申し訳ないですが、そのとき「グランドキャニオン」が何なのかも、よく知りませんでした。
「名前だけは聞いたことがある」という程度でした。
「グランドキャニオンはどんなところなの」と聞いて「これだよ」と言って見せてくれた雑誌の写真でわかったくらいです。
前提知識がまったくなかった。
旅行へ出かけます。
結論から言えば、印象に残っているのは、ラスベガスよりグランドキャニオンでした。
ラスベガスは、砂漠の中にあるギャンブルの町ということで大変有名です。
期待どおりの素晴らしい町でした。
夜でも昼のように明るく、ギャンブルをする人で大賑わい。
期待が大きかったので「期待していたとおりだ」という感じです。
しかし、それは「予定されていた感動」でした。
そういう感動が得られるであろうことがわかっていたので、心の準備ができていました。
しかし、グランドキャニオンは違いました。
全然期待をせず「おまけ」としてついでに行ったので、完全に度肝を抜かれました。
「うわっ、なんだろう。すごい!」
現地に到着して、呆然としました。
完全に度肝を抜かれました。
急に背中から、大声で「わっ」と驚かされた感じです。
期待していなかったので、逆に驚きと感動が大きく、印象深く残っています。
「地球上にこんなところがあったのか」と、そのときの感動は今でもはっきり覚えています。
この経験を通して、私は海外旅行を楽しむコツに気づきます。
海外旅行に行くとなると、やはり期待すると思います。
期待するなと言われても、期待してしまうでしょう。
それは仕方ないことですが、あまりに期待が大きすぎると、現地での感動が「予定された感動」になります。
そこで、あえて期待しすぎないことが大切です。
「期待しつつも期待しすぎない」
これです。
少し難しいですが、海外旅行をするときは、このくらいの心持ちがちょうどいいのです。