「今日は何の日か、知っている?」
以前付き合っていた彼女が、突然私に問題を出してきたことがありました。
たいていこういうときは、誰かの誕生日や記念日だったりするものです。
しばらく考え込んでいましたが、一向に心当たりはありません。
単なる平日であり、何の日でもありません。
「わからないよ」と降参すると、自信に満ちた表情で「私たちが出会って100日目!」と言うのです。
「出会ってから今までずっと数えていたのか!」と、驚いてしまいました。
便乗して「記念にケーキを買おう」と言い始めるのです。
100日目を勝手に記念日にしてしまうことも、また驚きです。
彼女の細かな気遣いに参ってしまい、一緒にケーキを買いに行ったことがありました。
プレゼントは、年間行事のときだけと限られたことではないと教えられた瞬間です。
プレゼントの上手な人は、記念日を自分で作れます。
記念日は、どんな名目でもかまいません。
「初めて会った記念日だから」
「週末だから」
「試験が終わった記念だから」
「文化祭が無事に終わった記念に」
「勉強が一段落ついたから」
「記念」という響きは、わくわくする言葉です。
記念日というだけで、特別なことがあっても許してしまいます。
突然「ちょっと食べに行こう」と言われると「え? なぜ?」と思います。
しかし「文化祭が終わった記念に」と言われると「そうだね。食べに行こう」と妙に納得してしまいます。
プレゼントの達人は、口実がうまいのです。
自分で記念を作ってしまい、人付き合いに結びつけるのです。