中学生2年の誕生日の朝、私が朝早く学校に登校したときのことです。
今でも忘れられない一瞬は、ある日突然、やってきました。
朝早く学校にきた私は、1人教室でいつものように勉強をしていました。
すると「こつこつ……」と誰かが教室に近づいてくる足音が聞こえてきます。
廊下を歩く足音は、当たり前のように聞こえる音です。
特に気にもしていませんでした。
しかし、足音が、私の目の前で止まった。
顔を上げると、当時、仲の良かった横山さんという女の子が立っていました。
まだ誰もいない教室に1人入ってきて、一言、こう言いました。
「今日誕生日でしょ。はい、これ」
プレゼントを差し出し、逃げるように教室から去っていきます。
私はあまりに突然で、嬉しくて飛び上がりそうになりました。
それはもう言葉が出ないほどです。
今日、誕生日であることを覚えてくれていたということに、感動はもちろんです。
さらに感動させたのは、もう1つありました。
私が朝早く学校に来ていることを知っている横山さんは、プレゼントを渡すために、わざわざ早く来てくれたようなのです。
その心遣いに驚き、感動したのです。
それでいて、突然の誕生日プレゼント。
出来事は一瞬でしたが、今でもその光景をはっきり覚えています。
それほど嬉しくて、感動してしまったのです。
「渡すためにわざわざ早く登校してくれたこと」に、感動だったのです。
プレゼントを渡すために2人っきりになることは、ポイントです。
たくさんいると邪魔をされたり、注意が散漫になったり、感動が薄れます。
2人っきりのシチュエーションを作るために、早めに登校してくれたのは、言葉では言い表せない感謝と感動があるのです。