「逃げ道を作ってはいけない」という人がいます。
それはいかがなものでしょうか。
たしかに人間は弱い生き物です。
逃げ道があると、つい楽なほうに傾いてしまいがちです。
本気を発揮しにくくなったり、諦めの気持ちが生じやすくなったりするなどのデメリットがあるでしょう。
「限界を超えたいなら、逃げ道を断って挑むべきだ」という考え方もあります。
意図的に逃げ道をなくすことで「やるしかない!」という状況に自分を追い込めます。
「火事場のばか力」という言葉もあります。
潜在的なパワーが発揮され、自分の限界を超えられるのです。
このように「逃げ道を作ってはいけない」という声に一理あるのも事実です。
しかしだからといって「逃げ道を作ること=悪いこと」と決めつけないことです。
逃げ道も、使い方次第です。
逃げ道を作ることは、悪いことではありません。
「私には逃げ道がある。いざとなったときは逃げられる」
そう思うだけでも、安心感が違います。
逃げ道を作ることで安心できたり勇気やパワーが出たりするのなら、それでいいではありませんか。
「逃げ道を作る=臆病者のすること」という考え方も誤解です。
逃げ道は保険のようなものです。
万一を考えて備えるのは大切なことだし、むしろ当然のことです。
備えていることで最悪の状況を避けられ、思い切って前に進めます。
用意されていることが大事であって、万一のときまで使わなければいいことです。
自信と余裕を持って振る舞えるようになるのです。
「逃げ道を作ってはいけない」という言葉をうのみにしないことです。
臆病な人はもちろん、普通の人でも、心の強化と万一のために、逃げ道を作っておくに越したことはありません。
たとえ勇敢な人であったとしても、逃げ道は有効です。
逃げ道を作ることも、必要な仕事の1つです。