公開日:2023年11月10日
執筆者:水口貴博

人生100年時代を生きる30の言葉

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マティスは晩年、寝たきりのまま切り紙絵を制作した。人は何歳からでも、新しいことにチャレンジができる。

マティスは晩年、寝たきりのまま切り紙絵を制作した。人は何歳からでも、新しいことにチャレンジができる。 | 人生100年時代を生きる30の言葉

フォービズムの代表的画家アンリ・マティスは、生涯を芸術にささげました。

フォービズムは、それまでにない、新しい絵画の描き方です。

単純化された構図と豊かな色彩を特色としていて、現代美術に大きな影響を与えたことで知られています。

色の可能性を存分に引き出すことに成功したマティスは「色彩の魔術師」とも言われています。

1941年、マティスは72歳のとき、重度の十二指腸がんを患い、長時間の外科手術を受けます。

余命いくばくもないと宣言されながら奇跡的に回復を果たしたもののの、外出もままならなくなります。

その後2年にわたって寝たきりとなり、1日の大半をベッドで過ごす生活となりました。

手術の影響と体力の衰えから、絵筆を十分振るえなくなり、油彩画の制作は限界を感じる状態となりました。

マティスがすごいのはここからです。

油彩画を描けないほど体力を失えば、普通は芸術を諦めます。

「もうダメだ」「できないものは仕方ない」となります。

しかしマティスは創作活動を諦めませんでした。

「体力がなくて油彩画ができないなら、体力がなくてもできる芸術制作をすればいい」と発想の転換をします。

そこでマティスは、あまり体力を必要としない「切り紙絵」という制作手法にチャレンジしたのです。

切り紙絵は、一からのスタートです。

今まで描いていた油彩画とはまったくジャンルが異なり、完全な初心者です。

ベッドであおむけになりながら、はさみを手に取り、紙を切り、介護を受けつつ制作に取り組みました。

フォービズムの特徴である単純化された構図と豊かな色彩を、切り紙絵でうまく表現しました。

そうしてマティスは、油彩画だけでなく、切り紙絵でも素晴らしい作品を残しました。

切り紙絵の作品『ブルーヌード』『王の悲しみ』は、晩年のマティスが制作した傑作として知られています。

高齢のマティスが、限られた体力を振り絞り、ベッドで寝たきりのまま制作した作品というのですから、驚かずにはいられません。

マティスの切り紙絵が素晴らしいのはもちろんですが、彼の諦めないチャレンジ精神にも感服します。

高齢と健康問題が重なった状態でありながらも、新しい表現にチャレンジしたことは、大変注目に値するのです。

私たちは、マティスの諦めないチャレンジ精神から学ぶところがあります。

「もう歳だから」「もう体力がないから」という声が聞かれます。

マティスに言わせれば「まだまだ」というレベルでしょう。

中年はもちろん、高齢であっても、新しいチャレンジは可能です。

たとえ健康問題に直面していたとしても、本人に熱い情熱があれば、不可能ではありません。

どれだけ年齢を重ねようと、どれだけ体力が衰えようと、本気になれば、新しいチャレンジができるのです。

人生100年時代を生きる言葉(28)
  • マティスの諦めないチャレンジ精神を見習う。
97歳で大学を卒業した男性がいる。
年を取ると記憶力が衰えるのは、ジョークだ。

人生100年時代を生きる30の言葉

  1. 人生は、1時間40分の映画。
  2. 昔の楽しい思い出を振り返るより、これからの楽しい予定を考えよう。
  3. 毎月末に今月を振り返ろう。
    成果や反省点をチェックして、翌月に生かそう。
  4. 「毎日同じことの繰り返し」と思ったときは、間違い探しゲームの発想で、日々の違いを探してみよう。
  5. 人生に、同じ天気は1つもない。
  6. 美しいものを見る機会を、積極的に作っていこう。
  7. 仕事に役立たないことが、人生を豊かにする。
  8. 何かを始めるのに、遅すぎることはない。
    人生100年時代から見ると、まだまだ時間はある。
  9. しわは、顔にできる年輪。
    深みを与える力がある。
  10. あらゆる感情の中で最も大切なコントロールは、怒り。
  11. 自分で自分に宿題を出す人が、成長する。
  12. 苦手な食べ物に、期待の声をかけよう。
    「いつかおいしく食べられる日が来るといいな!」
  13. 「面白そうだから」という理由だけで、チャレンジしていい。
  14. 本音で話してくれる人を憎んではいけない。
    本音で話してくれる人こそ大切にする。
  15. 長所だけが個性ではない。
    短所も立派な個性。
  16. 「あれ」「それ」で済ませていると、脳の老化が加速する。
  17. 今や人生100年時代。
    今日1日が無駄になったくらいで、気を落とす必要はない。
  18. 「面倒くさい」と思うのはいい。
    「面倒くさい」と言うのがいけない。
  19. 1つの名前にとらわれる必要はない。
    出世魚のように、成長やステージに応じて新しい名前を付けてみよう。
  20. 勉強は、学校に行かなくても、できる。
  21. 旅行は「行けるうちに行く」が正解。
  22. 貧しいと嘆いてはいけない。
    どんなに貧しくても、100年前と比べれば、すべてが豊か。
  23. 調子が良いときもある。
    調子が悪いときもある。
  24. 季節の移り変わりは早い。
    せめて1つくらいは「季節らしい思い出」を作ろう。
  25. 人はいつ死ぬかわからない。
    大切な人に伝えたい言葉があるなら、早めに伝えよう。
  26. 怖いから足を止めるのではない。
    足を止めるから怖くなる。
  27. 病気自慢をしない。
    健康自慢をしよう。
  28. マティスは晩年、寝たきりのまま切り紙絵を制作した。
    人は何歳からでも、新しいことにチャレンジができる。
  29. 97歳で大学を卒業した男性がいる。
    年を取ると記憶力が衰えるのは、ジョークだ。
  30. 自分に「若い」と語りかけ、ヤングなアダルトになろう。

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