野球の作戦の1つに「送りバント」があります。
打者がアウトになる代わりに、走者を次の塁に進めることを目的としたバントのことです。
送りバントは、別名「犠牲バント」とも呼ばれます。
ゲームとはいえ、打者がアウトになる様子は犠牲のように見えるでしょう。
野球はチームプレーです。
ヒットやホームランばかりを狙っていては試合が成り立ちません。
時には自分がアウトになる代わりに走者を前に進め、確実に1点を取り、チームを勝利へと導くことがあります。
もちろん反則ではありません。
送りバントは公式ルールとして認められていて、野球のよくあるシーンの1つです。
特に手堅いプレーが必要な場面では送りバントがよく見られます。
これは野球に限らず、ビジネスでも同じことです。
送りバントができるかどうかで、仕事の結果が変わります。
ビジネスではヒットやホームランを狙いがちですが、それだけでは不十分です。
自己中心的で独りよがりな仕事ではうまくいきません。
ビジネスも野球と同様、チームプレーです。
多くの人で成り立っていて、それぞれが協力し合い、チームワークで進めていくものです。
送りバントも作戦です。
自分は損をしたり責任を取ったりすることになりますが、チームのためになるなら送りバントも悪くありません。
ほかの人の仕事がスムーズに進んで、チーム全体の利益につながります。
自分にとって不利益であっても、チーム全体の利益になるなら貴い意義があります。
送りバントは、チームのことに貢献する気持ちがないとできない行為です。
送りバントができる人には、利他主義であり、全体利益に対する考え方があります。
送りバントができれば、重要な役割を果たしたことが評価されるのはもちろん、チームを大切に考えていることも証明されます。
そのため送りバントをした人は、立派な仕事を成し遂げたと周りからたたえられます。
痛みは伴いますが、成り行きを左右する大事な局面であれば、送りバントに出る勇気も必要です。
時と場合によっては重要な作戦です。
もちろん犠牲とはいえ、やり過ぎは禁物です。
何でも犠牲にすればいいわけではありませんが、許容範囲の痛みであれば、快く引き受けるとよいでしょう。
その勇気は周りからたたえられます。
地味な姿でいながらも、人の記憶に残ります。
送りバントをした人は、そのときは犠牲になっても、後から運とチャンスに恵まれます。