できればラッキーと思って、いきなり一番難しいことからしつけさせようとするのはよくありません。
いきなり難しいことをさせて最も心配になるのは、悪い印象を抱いてしまい、その行動を大嫌いになってしまうことです。
一度嫌いになると、普通にしつけをするより時間がかかります。
しつけをさせるのは、階段に上るイメージです。
いきなり最初から難しいことをさせるのではなく、ゆっくり慣れさせたり覚えさせたりするのがポイントです。
基本ができているからこそ、応用もできるようになる。
たとえば、犬の体を洗うときです。
いきなり湯船に浸からせるのは、いくら泳ぎが上手な犬とはいえ、抵抗があります。
初めて泳ごうとしたときに溺れでもしようものなら、水に対してアレルギーを持ってしまい、嫌がってしまうでしょう。
まずは大きな洗面器にお湯を入れて、水に慣れさせていくところから始める。
水に慣れてくれば、次にシャワー。
シャワーに慣れれば、一緒にお風呂に入らせる。
段階を踏んでいきます。
車に乗るのも同じです。
いきなり車に乗せ、遠くへ旅行に行くのは無理があります。
1時間もすれば、犬でも車酔いをします。
「車は苦手だ」という意識を持ってしまうと、車に乗るのさえ嫌がり始めることでしょう。
まずは、車に乗せるだけから始めます。
慣れてきたところで、エンジンをかけてみます。
エンジン音にも慣れれば、初めて車を発車させて、10分ほどのドライブに出てみる。
もちろん安全運転のために、クレートに入れてから発車させるようにしましょう。
それを30分、1時間、2時間というふうに、ゆっくりステップアップです。
留守番も同じです。
最初は5分から始めて、10分、30分、1時間というふうにステップアップです。
挫折するような経験をさせないように、着実に成功体験を積み上げ、犬に自信をつけさせるのがポイントです。
犬は「自分はやれば何でもできるぞ」という自信をつけて、堂々とするようになります。
あらゆるしつけは、必ず易しいところから始めるようにしましょう。
遠回りに思えても、実はこれが最も近道なのです。