車に対して苦手意識を持っている犬は多いです。
車の室内は、独特のにおい・エンジン音・空間・揺れがあります。
そのうえ、車酔いもありますから、あまりいい印象を持つことがありません。
嫌がるとはいえ、犬を飼っていくうえでは、車に乗せる機会もあります。
お出かけや旅行に行くとき、車に乗せることができれば、犬と行動できる範囲がうんと広がります。
また、犬がけがをしたとき、急いで動物病院に連れて行くときには、やはり車に乗せるのが必須です。
いざというときのためにも、やはり普段から車に慣れさせておく必要があります。
そこで車に慣れさせようと思い、車に乗せてドライブに出かけて以来、車をもっと嫌うようになった。
そんな逆のケースもあります。
いきなり車に乗せて長距離を移動させるのは、注意が必要です。
慣れさせるとはいえ、犬が慣れやすいようにステップを踏んでいく必要があります。
まず、飼い主が犬を抱っこしたまま、車に乗せます。
ただし、まだエンジンはかけません。
あくまで、最初は「車」という空間に慣れるのが目的です。
抱っこをしたまま頭や背中をなでましょう。
しばらくして問題ないようなら、車の中でじゃれ合ってみます。
次第に車の中の不思議な空間に慣れていき、苦手意識が消えていくはずです。
車を発車させずに、エンジンだけかけてみましょう。
これは「エンジン音」と「振動」に慣れる練習です。
エンジンをかけるとエンジン音がして、車全体が振動します。
エンジンをかけたまま車の中で飼い主が「エンジン音や振動があっても怖くないよ」と、犬の頭や背中をさすって安心させます。
車の空間、エンジン音、振動に慣れれば、ようやく車を発車させます。
ただし、必ず犬をクレートに入れてからにしましょう。
なぜ車を運転するときにクレートに入れるのか、おわかりですか。
運転事故を防ぐためです。
飼い主が運転している最中に、犬が突然飼い主に飛びかかると、ハンドル操作を誤り、大事故につながる危険があります。
犬を車の中で自由に動き回らせたい気持ちはわかりますが、事故を防ぐためにも、必ずクレートに入れてから発進させましょう。
もちろん最初は、徐行運転です。
慣れてくれば、少しずつスピードを上げていきましょう。
この3ステップを踏めば、犬は車に慣れていくはずです。
さて、最後に注意ポイントが2つあります。
犬も車酔いをします。
車酔いだけは、練習すれば治るというものではありませんから、犬の様子を見ながら適度に休憩を入れるようにしましょう。
車に乗せて移動するときには、2時間くらい前から食事は控えるようにしましょう。
胃の中に食事があると、車の中で酔いやすくなります。
酔ってしまうと吐いてしまう可能性もあります。
この3ステップと2つの注意事項を守れば、車に対する苦手意識は次第に消えていくことでしょう。