犬は、生後半年くらい経てば、立派に芸を覚えられるようになります。
マナーのいい犬に育てるために、芸を覚えさせたいこともあるでしょう。
しかし、言葉のわからない犬に、うまく芸を覚えさせるのに、どうすればいいのか途方に暮れるのではないでしょうか。
しかし、その方法は、シンプルです。
基本は次の3ステップだけでOKです。
まず飼い主は、犬と真っ正面から向き合ってください。
「お座り」「伏せ」「来い」など、言葉や態度で指示を出します。
犬は言葉がわかりませんから、最初はぽかんとすることでしょう。
そこで、飼い主は指示を出した後、犬にしてほしい動きを、手を使ってわからせます。
お座りなら、足を曲げさせます。
伏せなら、背中を押して伏せさせます。
もちろん強い力ではなく、優しく弱い力で「ゆっくり」を心がけます。
もう一度、指示を出して、言うことを聞いてくれるかどうかテストです。
初めて指示を出し、いきなりうまくいくことはまれです。
なかなかうまくいかなくて苦労します。
10回や20回でできるようになれば、御の字です。
たいてい100回くらいは練習が必要です。
また1週間も2週間も長い時間がかかることも珍しくありません。
しかし、諦めずにうまくいくまで、何度も繰り返しましょう。
飼い主が指示を出した瞬間、望んだとおりの動きをすれば、すかさず笑顔になってご褒美を差し出します。
頭をなでて「偉いね」と言って褒めてあげるといいでしょう。
そうすることで、犬は「なるほど。飼い主が望んでいた動きはこれなのか」と覚えてくれるようになります。
もちろん偶然できた可能性もありますから、何度も繰り返し挑戦して、身につけさせていきましょう。
言葉と動きをリンクさせるのは、繰り返して練習するに尽きます。
たったこれだけです。
難しくはありませんね。
さて、ここでいくつか注意したいポイントがあります。
できるまで1日中練習させるのではよくありません。
必ず適度に休憩を入れるようにしましょう。
なぜかというと、無理に長時間訓練させると、犬が嫌がり、抵抗感を覚えるようになるからです。
抵抗感を持つと、余計に覚えにくくなるので、あくまで無理をしない程度に繰り返すのがポイントです。
目安としては「1回3分のトレーニングを、1日5回まで」です。
少し少ないような気がしますが、疲れさせて抵抗感を持たせないためです。
覚えが悪くて、もどかしいこともあると思います。
しかし、どんなにいらいらしても、絶対に叩かないようにしましょう。
叩いてしまうと、芸を嫌がるだけでなく、飼い主が嫌われてしまう可能性があります。
いきなりたくさんの芸を覚えさせるのはよくありません。
さまざまな指示で犬は混乱し、余計に覚えが遅くなります。
覚える芸は、1つずつです。
1つに絞り、集中的に訓練させるのが一番です。
2つ目の芸を覚えるのは、1つ目の芸を完全にマスターしてからにしましょう。
犬が芸を覚えるのは、一朝一夕とはいきません。
ゆっくり急がず、長い目で芸を覚えさせていきましょう。