話をするときに、淡々と事実だけを述べる話し方は、上手な話し方とは言えません。
正しいけれど、説得力がなければ、聞いている人の気持ちをつかむことはできません。
校長先生のつまらない話と同じです。
気持ちをぐっとつかむことができる話し方をすることが大切です。
それが、例えです。
自分の言いたいことを、例えを使って上手に説明すれば、想像しやすくなります。
理解されやすくなります。
言いたいことと似ている例を出して説明すれば、相手も納得してくれます。
私は先日、両親に仕事で起きた、ある失敗について話をしたことがあります。
仕事といってもコンピューター業界に特化した難しい内容になり、説明をしても、理解に苦しんでいるようでした。
話をしていても、意味がよくわからないという返事が返ってきます。
「システムを正常に稼働させるため、INITプロセスを上げてからDispatcherプロセスを上げる手順がある」
「ところが、間違えて先にDispatcherを上げたため、システムに異常が発生して、サービスに影響を出してしまった」
そうした専門用語を使った話し方をしました。
単純な話も、専門用語が加わるだけで、難しい内容に聞こえます。
同じ職場にいる仲間なら「なるほど」と理解してくれますが、コンピューターにうとい人に説明するには苦労します。
そこで、両親にもわかる例を出しました。
「カレーを作るときに、ニンジンを先に入れてから、次にジャガイモを入れるという順番があるよね。
しかし、間違えてジャガイモから先に入れてしまった。
火が通りにくいニンジンから先に入れないと、カレーを上手に作れないでしょう」。
そんなカレーに見立てた話し方をしました。
すると「なるほど。たしかにそれはいけない」と理解してくれたのです。
言いたいことは同じです。
「順番を間違えたため、よくない出来事につながった」と言いたいだけです。
両親にもわかる例を出して話をすればいいのです。
説得力が加わり、納得してくれます。
話をするときには、例を出して話をすることです。
専門用語がなくなるだけでも変わります。
一部の人にしかわからない話も、わかりやすい例えを使って話ができれば、すべての人に通じる話へと変わります。