私は書けば書くほど、浮き彫りのように気づいてしまうことがあります。
「世の中には、善も悪もない」という事実です。
気づきたくないですが、これだけたくさんの文章を書いていると、気づいてしまいます。
あなたは説得力のある話をするときには「正しいことを言わないといけない」と思っているのではないでしょうか。
たしかに正しい話は、相手に聞いてもらいやすくなります。
反論する人も少ないことでしょう。
その気持ちはわかります。
しかし、実際は「すべての現実において、正しいこともなければ、間違っていることもない」という事実があります。
「え? そんなまさか」と思っていることでしょうが、本当です。
問題は、説得力しだいなのです。
説得しだいによって、すべての善を悪に変えることもできれば、悪を善に変えることもできます。
たとえば「牛肉はおいしいです」という善があっても、そのために「牛を殺してしまおう」という話は悪になります。
「平和のために」という善があっても、そのために「戦争をして人を殺す」という現実は悪になります。
「家族のために」という善があっても、そのために「夜遅くまで働いて健康を崩してしまう」という現実はいけませんね。
物事には2面性があって、善と悪は表裏一体です。
善だけということもなければ、悪だけということもありません。
2つで1つです。
問題は説得しだいであり、どちらを強調するかだけです。
あなたが思っているであろう「正しいことを言わないといけない」というのは、そもそも幻想です。
一面しか見られていないということです。
必ず、もう一方があります。
少し見方を変えれば、事実は変わります。
どう考えても間違っている悪としか思えない話も、説得力しだい。
正しい話に変えたり、善に変えたりできてしまいます。
正しいことも間違っていることもありません。
説得によって、どちらを強調するかだけです。