「私怨を晴らす」という言葉を聞いたことがありますか。
自分が受けてきた苦しみを、後から来る人間にも同じような苦しみを味わわせようとする個人的な恨み解消のことを言います。
ストレスは関係ないようですが、実は関係があるので、整理してお話しします。
ストレスをためる人は、自分でわかるまで考えることがいいことだと思っています。
また教育者においても、わかるまでとにかくずっと考えさせようとする教え方をする人がいて、残念に思います。
こういう状態では、実は学力が伸び悩みます。
たしかに考える力はつくことでしょうが、単なるきれい事です。
わからないことは、いつまで経ってもわかるはずがありません。
自分の理解を超えたことを、わかるまで考えるということほど、効率が悪く、ストレスのたまる話もありません。
小学生が微分積分の問題をわかるまで考えようとしても、いつまでもわかるはずがありません。
わからないことは、正しい解き方を学ぶほうが先決です。
「わからないから教えてください」とすぐ解き方を教えてもらえればいいのです。
考えてわからないことは、わからないのですから答えを見たほうが「そうか! こうすればいいんだ」と理解できます。
わからないところをすぐ教えてあげたほうが、成長が早いのです。
しかし、現実では、小学生に対して微分積分のような問題を、わかるまでずっと考えさせようとする教育方法が多いのです。
そういう教え方がかっこいいと勘違いしている教育者さえいます。
問題は、わからなければすぐ答えを教えてもらえればいいのです。
これを「引き継ぐ」といいます。
現代でこれほど、科学技術が進歩できているのは、過去の技術を引き継いでいるからです。
知っていることを、惜しみなく次の世代へ伝え、わからないことは教えてあげる優しさがあるからこそ、進歩していきました。
もし、次のような考えならどうでしょうか。
「わかったことを、次の世代にそう簡単には教えてあげない。私たちと同じように苦しみを味わいなさい。そうしたら教えてあげる」
こうした恨みを晴らすような教え方、教育方法では、科学技術は停滞したままになるでしょう。
わかったことは次の世代に惜しみなく伝え、わからないことは一緒に考える姿勢があるからこそ、引き継がれ、進歩します。
学力の向上、成長においても、わからないことは教えてもらえばいいのです。
また教えてあげればいいのです。
「考えてもわからないことは、すぐ答えを聞いてしまえ」というのは、だらだらした考え方ではありません。
ストレスが小さくなり、成長が早くなる鉄則です。