「来た仕事は断りません」
「依頼された仕事は必ず引き受けます」
世の中には「仕事を断らない主義」の人がいるものです。
仕事を断らない主義の人がいると「仕事のできる人」という感じがします。
仕事ができて、自分に自信がある様子がうかがえます。
頼りがいがあって、責任感が強く、プロフェッショナルという印象を受けるでしょう。
「私は来た仕事を断らないポリシーです」と言えば、誰の目にもかっこよく映ります。
周りから「プロですね」「社会人の鏡ですね」と称賛されるでしょう。
成功者のインタビューでも「仕事を断らない」という類いの話がよく登場します。
そういう話をよく見聞きするので「私も仕事を断らない主義でいこうかな」と考えがちです。
しかし、ここは肝心です。
たしかに仕事を断らない主義は立派なことではありますが、大きなリスクを潜んでいます。
人間は、無限に仕事ができるわけではありません。
どれだけ仕事ができる人でも、キャパシティーには限界があります。
依頼されるがままどんどん仕事を引き受けていたら、体を壊すのは時間の問題です。
いつかキャパシティーはゼロになり、大変なことになります。
すでに引き受けている仕事の質を落としかねないのです。
鬱病になった人は、真面目で責任感が強い人が多く「来た仕事は断らない」という働き方がよく見られます。
どんどん仕事を引き受けてしまったため、限界を超えてしまい、体を壊すことになったのです。
「私は仕事を断らない主義です。今まで一度も断ったことがありません」と豪語する人を見かけます。
それを真に受けないことです。
本当にすごい人か、もしくはまだ限界を経験したことがないかです。
その人のケースでは、たまたま体を壊す前にうまくいっただけの話です。
そもそも成功者には、日頃から体を鍛えていて、優れた体力の持ち主が多く、キャパシティーは大きめです。
成功者でも、さらに強い負荷がかかり続ければ、いつかはつぶれます。
生存者バイアスに惑わされると、痛い目に遭います。
断る勇気を持ちましょう。
余裕がなければ、勇気を出して断ります。
条件の良い仕事であっても、いっぱいいっぱいのときは、きちんと断ることが大切です。
「申し訳ございませんが、今は余裕がありません」の一言で済む話です。
仕事をいただけるのは嬉しいことですが、そこで見栄を張って無理しても仕方ありません。
無理をするなら「背伸びまで」です。
明らかに背伸びの範囲を超えているなら、無理と判断して、きちんと断ります。
すでに引き受けている仕事をきちんとやり遂げるためにも、勇気を持って断るのが賢明です。
「仕事を断ったら仕事がなくなりそう」と不安に思う人もいるかもしれません。
もちろんリスクはあります。
だからといって無理をするのは良くありません。
仕事よりも健康のほうが大事だからです。
仕事を断って仕事がなくなれば、そのときはそのときです。
ベストを尽くした結果なら仕方ありません。
無理に引き受けたとしても、体を壊していたのですから「正しい選択だった」と考えましょう。
お金も大切ですが、健康はもっと大切です。
健康以上に大切なものはないのです。