私たちは早い成長を求める傾向があります。
「成長できるなら早いほうがいい」
特別な理由がないかぎり、誰もが共通する考え方でしょう。
遅い成長より早い成長のほうが、華やかでかっこよく思えます。
早い成長は理想であり、無駄がないように思えます。
しかし、いくら成長が早くても、後から元に戻るなら要注意です。
往々にして早い成長は、元に戻るのも早い傾向があります。
スピードが速すぎると、習得や定着が不十分のため、すぐ失われます。
成長の有無を見極めるなら、短期ではなく長期で考えなければいけません。
きちんとした成長を考えるなら、遅くてもいいから着実であることが重要です。
たとえば、試験前の徹夜です。
試験前に慌てて勉強する人も多いでしょう。
夜通しであっても、試験前の焦りが集中力と記憶力を高め、効率よく勉強できることがあります。
場当たりの試験対策が実際にうまくいくことがあるのも事実です。
勉強するなら短時間のほうがよさそうに思えますが、ここから定番のおちがあります。
徹夜で勉強した内容は、試験が終われば、すぐ忘れます。
ほとんどを忘れてしまうことも少なくありません。
短期記憶はできても、長期記憶が不十分です。
長期記憶への定着が弱いため、覚えるのは早いですが、忘れるのも早い。
試験は乗り越えることができても、きちんと知識が身についていなければ、後で苦労することになるでしょう。
スピードは大切ですが、無謀なスピードは後悔を招きます。
早く成長しても、元に戻るなら意味がないのです。
きちんと学問を身につけるなら、真面目にこつこつ勉強するのが一番です。
スピードは遅いかもしれませんが、着実に成長できます。
かっこ悪いかもしれませんが、最も無難です。
時間をかけて学んでこそ、土台が固まり、さらに積み上げていけます。
勉強に限った話ではありません。
スポーツ・ビジネス・アートでも、同じ現象が起こりえます。
きちんとした成長を考えるなら「スピード」より「着実であること」に重点を置くのが賢明です。
大切な成長であればあるほど、時間をかけましょう。
遅くてもいいから、着実に成長することが大切です。
着実に成長するのが、結果として一番近道になるのです。