私が新人のころ、最も苦労をしたのはお酌です。
「水口! お酌を忘れているぞ!」
先輩からよく叱られていたものです。
飲み物が減れば、お酌は常識ですね。
自分でお酒をついで飲む手酌は、わびしく思うものです。
相手のグラスのお酒が少なくなれば、気を利かせてお酌をしましょう。
しかし、これが難しいのです。
話が盛り上がるほど、話に夢中になり、お酌を忘れてしまうのです。
緊張しますし、会話に夢中になっていると、相手のグラスのお酒が減っていることに気づきにくいのです。
克服に時間がかかりました。
「何とかいい方法はないだろうか」
そう思いながら、何度か経験していくうちに、名案が浮かんでコツをつかみました。
ポイントは、相手がグラスを飲むタイミングです。
話をするときには、相手の顔を見ながら会話をしますよね。
話をしながら、ときどき相手がグラスに口をつけて飲むことでしょう。
その瞬間、相手が手にしているグラスにも目を向け、量も確認すればいいのです。
視界にグラスが入っているので、相手から視線を外すこともありません。
これは癖です。
最初はなかなかできないのですが、癖になると、自然とできるようになります。
癖になると、お酒の場以外でもできてしまいます。
友人と食事に行くとき、グラスに入った水の量も自然に確かめてしまう自分がいるのです。