意外な場面で、先輩から叱られた印象深い思い出があります。
一般的に、お酌をするのは、目下の人からすることと思います。
しかし、実際は新人なら誰でもいいわけではありません。
それを痛感した出来事がありました。
会社で、季節の変わり目に飲み会がありました。
先輩が手に持っているグラスのお酒が、残りわずかになりました。
グラスを持ち上げながら「誰か、ついでくれ」と、先輩から言われたときです。
「ここは新人である私の仕事だ」
そう思い、すぐお酒をつぎ足そうとしたときです。
たまたま近くにいた若い女性社員も同じことを考えていて、同じ動作がぶつかりました。
お互いが顔を見合わせて、そのとき、つい私が出しゃばってお酌をしようとしたのです。
「おい、水口! そこはお前の出番じゃない」
せっかくお酌をしようとしたのに、逆に叱られてしまいました。
「ええ? ここは新人の仕事じゃないの?」
続けて先輩は言いました。
「男にお酌をされても、酒がうまくない」と。
ショックな一言に、頭を抱えました。
ですが、たしかにそれはあるなとも思いました。
一般的な男性心理としては、やはり若くてかわいい女性からお酌をされたいと思うものです。
男性は女性からお酌をされるだけで、上機嫌になります。
それからというもの、私も反省し、行動パターンを変えました。
もし先輩のグラスのお酒が少なくなれば、近くの女性社員に耳打ちをして「先輩のお酌をお願い」と言うようになりました。
私がサボっているようにも見えますが、そうしたほうが場はうまく回るのです。
あまり大きな声では言えませんが、こういうことを飲み会で心がけておくほうがいいでしょう。