初めてニューヨークに降り立ったとき、にこにこしながら早足で近づいてくる人がいました。
初めてのニューヨークで土地に不慣れな私は、右も左もわからず、わらにもすがる思いでした。
突然、立派な服装をした1人の黒人男性が近づいてきました。
どうやらタクシーの運転手で「どこへでも連れて行ってあげよう」と笑顔で言います。
笑顔で言われると、なんとなく「まあ、いいかな」と思います。
ちょうど予約していたホテルに行きたかったので、そのタクシーを利用しようと決めました。
しかし、タクシーに乗ってから「やられた」と思いました。
車に乗ると、態度が一変です。
態度が悪くなり、暗い雰囲気です。
それは「No」と言わせないためです。
案の定、タクシーの料金メーターはない。
「聞けばいいではないか」と思いますが、実際その状況になると、聞けるような雰囲気ではありません。
どこか違うところに連れて行かれそうで怖かった。
騙されているのはわかっていても、そういう仕事をしている人は、Noと言わせない態度や雰囲気が出ています。
ましてや知らない土地ですから、何かあっても助けてくれる人は近くにいません。
目的地まで着くや否や、80ドルくらいで済むところを、200ドルも請求されてしまいました。
騙されているのはわかっていましたが、やむなく支払ったという苦い思い出があります。
これだけではありません。
そのほか、売店でにこにこ親切な人がいました。
実際は、通常より高値で売ろうとしているぼったくりでした。
どうやら、親切でにこにこ近づいてくる人に多いようです。
もちろん親切でにこにこしている人すべてが、悪い人とは限りません。
しかし、初対面から親切すぎる人や笑みを浮かべながら急接近する人には、注意が必要です。
慣れない旅行者につけ入ろうとしている姿かもしれないのです。