あるオリンピックの短距離走で、印象深い光景がありました。
スタートの合図が鳴り、勢いよく走っている途中です。
1人の黒人選手が、ゴール手前でつまずいて、勢いよく転んでしまいました。
全速力で走っている状態ともなると、転ぶとはいえ、全身にかなり大きなダメージを受けます。
その選手も、全力で走っていた衝撃で体全身を強く打ち、しばらく立ち上がることができませんでした。
膝や顔の擦り傷が出て血が流れ、苦しそうな表情を見せていました。
もしかすると、骨にひびが入っていたのかもしれません。
立ち上がるのが難しそうな様子から、棄権するのかと思っていると、驚くべき行動に出ます。
なんと、地面を這いながらゴールしてしまったのです。
その諦めない光景に、会場にいる観客は立ち上がり、大きな拍手をしました。
世間では「転んでも起き上がることが大切」と言われます。
しかし、起き上がりたくても、起き上がれないこともあります。
起き上がれなくても、諦めないのです。
立ち上がれなければ、諦めなかった選手のように、地面をはえばいいのです。
情けない姿ではありません。
これこそが、真の諦めない姿です。
本当にかっこいいのは「うまくいく姿」より「諦めない姿」です。
四つん這いになり、地面を這う姿に、多くの人が心を打たれるのです。