私が世渡りを意識し始めたのは、留学時代の男友達の影響です。
当時私が20歳のときに、すでに彼は世渡り上手な人でした。
彼は、今まで私が苦労してやっていたことを、いとも簡単にやり遂げてしまう、世渡りの達人でした。
私と彼は、韓国語のクラスで一緒でした。
韓国語のクラスは、難しい授業でした。
最初の障害は、文字です。
韓国語は「ハングル文字」と言って、縦棒や横棒などでできた変わった形の文字です。
初めて勉強をする人は、読み方がまったくわかりません。
そんなときに限って、さっそくテストです。
韓国語の初心者である私も彼も、もちろん読めません。
しかし、テストがあります。
私は必死に真面目に勉強して、何とか読めるようになりました。
彼はというと、カンニングをしていました。
彼はカンニングのおかげで、私より良い成績を取ってしまいました。
彼はこう言いました。
「毎日忙しくて時間がないなかで、うまく点数を取っていくには、時にはカンニングが必要なのさ」と、言っていました。
実は、彼はとても忙しい人でした。
そのほか、学校の勉強、音楽の練習、友人との付き合いなど、時間を最大限に活用しています。
そもそも人間には、時間が無限にあるわけではありません。
限られた時間内で好成績を得るには、策が必要です。
彼は、学校、友人との付き合い、音楽など、それぞれをうまくこなしていました。
彼と仲がよかったこともあり、いつも一緒に行動していました。
彼が困難をあっさり乗り越えてしまう様子を目撃でき、だんだん仕組みがわかってきました。
要領がいいのです。
困難をうまく乗り越えるための、コツをつかんでいました。
カンニングに限らず、時間の使い方や生活リズムなどが、正確で的確なのです。
そのおかげで、彼は私より学校での進み方が早かったのです。
仕事でも、同じです。
早く昇進するためには、必ずしも努力と比例するとは限りません。
正直に努力しても、報われない現実があるのもたしかです。
本当に必要なのは、要領の良さです。
そもそも社会では、カンニングをしないと、うまくやっていけません。
わからないところがあれば、自分一人で考えず、人に聞くことです。
学校でカンニングはいけませんが、社会では正当な手段です。
むしろ、カンニングできるようにならないと、社会ではうまくやっていくことができません。
このことを、学校では教えてくれないのです。