私の実家は兼業農家で、ミカンを作っています。
庭は畑であり、ミカンがたくさんあります。
ときどき、熟れ具合を確かめるために、ミカンをかじることがあります。
甘酸っぱい味が口の中いっぱいに広がります。
「おいしいな」
ミカンのおいしさに癒されているとき、ふと気づいたことがあります。
市販されている缶に入った果汁100パーセントのミカンジュースとは、全然印象が違います。
実家の畑になっているミカンのほうが、はるかにおいしい。
最初はミカンの種類が違うためかと思いましたが、同じミカンの種類でも伝わってくるものが違います。
味は同じでも、飲んだときに体に伝わる元気が違います。
なぜでしょうか。
それは、フレッシュだからです。
たしかにどちらも「果汁100パーセントのミカンジュース」であることには変わりありません。
ビタミンの量も変わりません。
しかし「フレッシュさ」は、まったく異なります。
濃縮還元したミカンジュースは、フィルターを通して、ミカンの大事な命が抜き取られている状態です。
ビタミンは豊富に含まれていますが、肝心のフレッシュが欠けています。
それは缶の裏にある栄養表示には表れない数字です。
一方、絞りたてミカンジュースは、フレッシュそのものです。
人間が元気を出すのは、ビタミンを摂取したときだけではありません。
フレッシュを口にしたとき、元気が出ます。
フレッシュな果物には、命が宿っています。
命を口にしたとき、命が震えます。
フレッシュなミカン・リンゴ・バナナをそのままかじるほうが、おいしいばかりでなく、元気まで出てきます。
昔からお見舞いといえば、フレッシュな果物が定番です。
なぜ果物かというと、フレッシュな果物には命が宿っているからです。
栄養以外の大事なものです。
「果物の命を食べて、元気になってください」という意味があるのです。