ねぎらいの言葉で、私がいつも気をつけている言葉があります。
「お疲れさま」と「ご苦労さま」です。
ねぎらいの言葉は「お疲れさま」だけで十分です。
「ご苦労さま」まで使わなくてもかまいません。
それは、この2つの言葉には大切なニュアンスの差があるからです。
人によって「お疲れさま」と「ご苦労さま」の違いを区別していない人がいます。
「お疲れさま」は、相手の年の差に関係なく使えます。
年下、年上でも問題なく使えます。
「大変でしたね。お疲れでしょう。今日は、ゆっくり休んでください」という年齢差に関係のない意味が含まれているのです。
それに対し「ご苦労さま」は、目上の人が目下の人に使う言葉です。
「よく頑張った。偉いぞ。次も頑張ってくれ」という肩書の差を感じさせる意味が込められています。
この違いに気をつけて、私はいつも「お疲れさま」のほうを使うようにしています。
時代劇1つをとっても、明らかに差がわかります。
お殿様が家来に使うねぎらいの言葉は、決まって「ご苦労だった」と表現されます。
一方、身分に差のない商人同士は「お疲れのようですな」などと交わし合います。
商人がお殿様に向かって「ご苦労」なんて使った日には、打ち首獄門です。
私は最初、ほとんど同じ意味のようで、なかなか飲み込めませんでした。
しかし、ある日、年下の人に「ご苦労」と言われた経験でわかりました。
年下に、ご苦労と言われると気分がよくないのです。
偉そうに聞こえます。
私は「なるほど、このニュアンスのことか」と、ようやく理解できたのです。
「ご苦労さま」を使わない代わりに「お疲れさま」を使うようにしましょう。
「お疲れさま」だけで、十分に人付き合いをやっていけます。