基本的に、猫は嬉しい表情を笑顔に出すことはありません。
嬉しさを鳴き声や態度に表すことはあっても、笑顔という表情を作って顔で伝えようとすることはありません。
しかし、普段から猫を観察していると、ときどき「にやり」と笑った表情をすることはありませんか。
目が半開きで、口を開け、人が笑っているのとそっくりの表情をします。
「猫も笑顔を作ることができるのか?」
一瞬そう思いますが、違います。
おそらく「フレーメン」と呼ばれる現象です。
猫の前歯の裏側に2つの穴があります。
それがフェロモンのにおいを感じ取る「ヤコブソン器官」です。
ここで異性のフェロモンを感じようと息を吸い込んだとき、独特の表情になり、笑っているような顔に見えます。
特によく見られるのは発情期を迎えた猫が、異性の猫と戯れているときです。
体を寄せ合っているときに笑っていたら、きっと異性のフェロモンを感じているのでしょう。
また、人間と一緒にいるときにも、同じく笑ったような表情をすることがあります。
この場合は、単に飼い主のにおいを感じるために、息を深く吸い込んだ際、笑顔に近い表情に偶然なっていることが考えられます。
感情を笑顔で表現しているように見えますが、実は少し違うのです。