小学生のころ、テレビ番組で、調教された犬が飼い主の言うことを聞いている場面を目にしたことがありました。
飼い主の言葉に応じて、犬が言葉を理解しているかのように命令に従います。
あなたも何度か目にしたことがあるのではないでしょうか。
背筋をぴんと伸ばし、マナーがよく、言葉を理解しているかのように、飼い主の言うことを聞いている犬です。
「すごく賢い犬だなあ。うちの犬も言うことを素直に聞いてくれればいいのになあ」
まだ幼かった私は「マナーのいい犬は生まれつきの素質や性格がいいからだろう」と思っていました。
本屋で犬の勉強をしたり、ほかの犬を飼っている飼い主と触れたりしているうちに、そうではないことに気づかされました。
今になって思えば、なんて恥ずかしい考えを持っていたのかと赤面します。
歴史を振り返ると、犬は人との付き合いが長いペットです。
日本では、縄文時代より以前から犬との生活が始まっていたとされています。
古代エジプトには、犬の象形文字も存在しているほどです。
古くから人との付き合いがあるため、お互いに慣れ親しみやすいDNAが組み込まれています。
人が飼うペットには多くの種類がありますが、特に犬はしつけやすいペットです。
犬も人と同じように、きちんと教育すれば、動きがよくなります。
「うちの犬は頭が悪い」と言うのは「飼い主である自分には、しつける能力がありません」と言っているのと同じ話です。
飼い主がだらしないから、ペットはいつまでも言うことを聞いてくれないだけです。
当時「生まれつきの育ちがいいからだろう」と諦めていることは、私がしつけに対してやる気がなかった証拠でした。
もちろん生まれつき犬の種類・体格・年齢・性格によって、しつけのしやすさにも多少は違いが出てきます。
子犬のころからしつけたほうが覚えはよくなるのもたしかです。
しかし、専門的なしつけではなくとも、愛情を持って接していれば、最低限の言うことを聞いてくれるはずです。
何のためにしつけるのかというと、人に迷惑をかけず、快適に暮らしていくためにです。
「ペットをしつけること」も大切ですが、それ以上に、まず飼い主がしっかりすることです。
飼い主がしっかりしていないと、ペットも当然しっかりできません。
言うことを聞かないという犬は、犬が悪いのではなく、下手な教え方をする飼い主が悪い。
しっかりした犬に育てる前に、しっかりした飼い主になることです。
飼い主がしっかりすれば、必ず飼っている犬もしっかりします。
警察犬や盲導犬のように本格的な調教によってしつけていくのは難しいですが、ある程度のしつけは誰でもできるはずです。
「犬は飼い主の鏡」です。