操り芝居に用いる人形といえば、操り人形です。
人形の手足を糸で吊し、上から人が間接的に操ります。
芝居では、人形がひとりでに動いているように見えます。
操作者が熟練者ともなれば、動きが生々しい。
本当に人形が生きているように見えて、面白いのです。
さて、そんな操り芝居に用いる操り人形ですが、自分とは無関係と思っていませんか。
いいえ、無関係どころか、深く関係しています。
よくよく考えてみると、私たちも操り人形なのです。
あなたの手足が動くとき、手足から直接命令が出ているのではありません。
あなたを動かしている元をたどれば、脳です。
脳から伸びる神経という糸によって、手足が動いています。
今、手を握ったり開いたりしてみてください。
それは厳密に言うと、脳が動かしたのです。
手足の動きは、脳からの命令が神経を伝って、手足を間接的に動かしているにすぎません。
話したり歌ったりするのも、脳からの命令が神経を伝って、喉の筋肉を上手に動かしているだけです。
操り人形の場合、上から糸を吊して操りますが、人間の場合、体の内部に神経があって操っています。
操る糸の場所は少し違いますが「遠隔から操作している」という点は、どちらも同じです。
この事実に気づけば、人間の不思議さに気づくでしょう。
あなたの滑らかな動きは、脳からの命令が熟練している状態にすぎないのです。