執筆者:水口貴博

決断力を高める30の方法

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「告白」は、忘れられない決断となる。

「告白」は、忘れられない決断となる。 | 決断力を高める30の方法

今でも忘れはしない、私が22歳のときです。

当時は、まだアメリカに留学している最中であり、学生時代を送っていました。

おかしな話ですが、興味本位から学校では日本語のクラスを取っていました。

「日本語で日本語を勉強すること」はあっても「英語で日本語を勉強すること」は、なかなか珍しいことです。

そんな理由から、興味本位で日本語のクラスを取っていました。

同じクラスの中に、ダントツに飛びぬけてかわいい韓国人の女の子がいました。

日本にとても興味があったらしく、積極的に日本語について聞いてきたことがきっかけで、彼女と知り合いました。

クラスは毎日あり、毎日彼女と顔を合わせるようになったら、私はだんだん彼女のことが好きになってしまいました。

私はクラスにいくことが楽しみの1つになり、またその反面つらい日々の始まりにもなってしまいました。

彼女のちょっとした"そぶり"は、私に対して恋愛的感情があるのではないかと思わせます。

しかし、その反面、彼女のちょっとした"そぶり"は、やはり自分には興味がないのではないかと思わせます。

彼女の行動一つ一つが、私を悩ませます。

最後の辺りは本当にクラスに行くのがつらくなってしまいました。

彼女のことが、頭から離れなくなってしまったのです。

頭の中で「深入りしないようにしよう」とどんなに考えても、気持ちは正直に動いてしまいます。

彼女に会えば会うほど、幸せのタネにも、悩みのタネにもなり、気が狂いそうになってしまったのです。

私はそのとき一瞬「ストーカーになる人って、こんな気持ちになっているんだろうな」と思ってしまったくらいです。

ストーカーなんてなりたくありませんし「何とかしなければ!」と思い、私は苦渋の決断をしました。

「登校拒否」です。

私は彼女が好きであるゆえに、もうこれ以上、頭の中を占領させたくなかったため、少し距離を置くことにしたのです。

好きな人と会ってしまうから学校へ行かないということは、なかなかあるものではありません。

私は今でも、珍しい行動をしたなと思っています。

私が日本語のクラスへ行ってしまえば、彼女と会ってしまい、頭の中から離れなくなってしまう病に再び冒されてしまいます。

そのため、もう思い切って学校へ行くのをやめたわけなのです。

おかげでクラスへ行かなくなってからは「頭から離れない病」は少し楽になりました。

だんだんほかのことも少しは考えることができる余裕が出てきた、そんなときです。

今度は、学校へこない私を心配して、同じ日本語のクラスのある友人が、心配で電話をかけてきてくれました。

「どうしたの? 最近、全然学校来ないじゃん? 何か病気でもしたの?」と、心配していました。

その人はとても信頼できる友人だったこともあり、私は正直に学校へ行けない理由を話しました。

すると……、友人に大笑いされてしまいました。

私としては、真剣に恋愛に悩んでいるのに、友人にしてみれば、おかしく思えたのでしょう。

たしかに私は、少し気にしすぎなのかもしれません。

友人に話すと「大丈夫だよ。彼女が心配しているよ」と元気づけてくれたため、久しぶりにクラスへ行ってみました。

すると、彼女が、なんとまあかわいい笑顔で迎えてくれるではないか。

彼女は本当にいい子で、何があったのか、病気でもしたのかと、いろいろと私のことを気遣ってくれます。

しかし、私は、彼女の前で本当の理由が話せませんでした。

私が学校へ行けなくなったのは、目の前にいる彼女本人が原因だっただけに、何も話せないのです。

それからは、学校へ行ったり行かなかったりの不安定な毎日が続きました。

私も、ずっと頭に恋愛の負荷をかけていると、だんだん頭の中がもやもやになってきて、疲れてしまいました。

そんな状態を何とかするために、最後に「一大決心」をすることにしました。

「告白」です。

告白して、白黒はっきりさせてしまえば、この苦しみから放されるのです。

なぜ今までそれができなかったのでしょうか。

答えを聞くのが怖かったのです。

私は「好き」の一言すら言えない弱虫でした。

しかし、考える毎日にもう疲れてしまい、その疲れのおかげで恥ずかしさが少し紛れていました。

そこである日「今なら告白できそうだ」と思い、その子に「ラブレター」を書くことにしました。

自分の気持ちを正直に書いたラブレターを渡して、その場から逃げるように帰りました。

帰って、どうなるのかと、どきどきしながら返事を待っていました。

すると……、次の日の夕方、彼女から電話がかかってきました。

私は結果を聞くのが怖くて、着信のところで彼女の名前が出ていても、電話に出るのを一瞬ためらいました。

しかし、思い切って、電話に出ることにしました。

電話の向こうでは、彼女はいつものトーンで話を始め、昨日のラブレターのことなんて忘れているかのようでした。

しかし、彼女も結果を言うのをためらっていて、あえて会話の最初は雑談で紛らせていただけでした。

会話の最後に、一言言ってくれました。

私が、人生で最も忘れられない一言です。

「あなたは私のこと、女性として見ているかもしれないけど、私は友人でいたい。これからも友人でいましょう」

明るく返事をしてくれました。

つまり、振られてしまったのです。

はっきり言わず「友人でいたい」という遠回しな表現を使ってきたところが「うまく断られてしまったな」と感じました。

それから数日が経ち、今までの精神的な苦しみが一気に楽になりました。

多少の「失恋後遺症」は残ってしまっても、今までの苦しみに比べれば、楽になったものでした。

告白をして、白黒はっきりさせたことで、精神的なもやもやに苦しむことがなくなったのです。

私にとって、告白という決断は、大きな決断でした。

しかし、後悔はしていません。

むしろ「あのとき、告白してよかったな」と、今でも心からそう思っています。

もしあのとき、自分の気持ちを伝えていなければ、いまだに後悔が残っていたはずです。

「片思い」とは、本当につらいと思った一件でした。

これが、私の人生の忘れられない思い出の1つになるのでした。

決断力を高める方法(5)
  • 「告白」という決断をする。
決断ができる人は、どんなチャンスも生かすことができる。

決断力を高める30の方法

  1. 人生は、決断の連続だ。
  2. とにかく、自分のことは自分で決める。
  3. 正しい選択ができるように、見栄やプライドは捨てよう。
  4. 夢がある人には、決断力がある。
  5. 「告白」は、忘れられない決断となる。
  6. 決断ができる人は、どんなチャンスも生かすことができる。
  7. 自分が決めたことなら、悔やむことはない。
  8. せっかくの人からのアドバイスを「でも」と言い返さないこと。
  9. 決断しても、後から微調整すればいい。
  10. どうしても決められなければ、消去法を使えばいい。
  11. 飽きてしまうことを、人間的成長と考える。
  12. 遠慮をしないようにすれば、決断ができるようになる。
  13. 「わからない」ときは「わからない」という決断もあり。
  14. 自分がした決断は、自分が責任を取る。
  15. 考えすぎると、決められなくなる。
  16. 心の関係は、気持ちを第一に考える。
  17. 他人に決められると、決断できても、行動できなくなる。
  18. 短所ばかりを気にしていると、いつまで経っても決断できない。
  19. わからなければ、試しにやってみる。
  20. 間違えにいくと考えれば、決断ができる。
  21. メリットとデメリットを紙に書くと、決断がスムーズにできる。
  22. 一番いけないのが、何もしない人。
  23. 決めたことを、後からくよくよしない。
  24. より良い決断ができるために、たくさん勉強しよう。
  25. 自分の好き嫌いを基準にして、決める。
  26. うまい話には、裏がある。
  27. 逃げることも、大切な決断となる。
  28. 多数決の意見が、必ずしも正しいとは限らない。
  29. 「数字」で決めるのではなく「印象」で決める。
  30. 小さく嫌われる人が、大きく好かれる人になる。

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