「アルキメデスの原理」という言葉をご存じですか。
「流体の中で静止している物体は、それが押しのけた液体に働く重力と同じ浮力を受ける」という内容です。
この原理を発見するきっかけになった、有名なエピソードがあります。
紀元前220年ごろ、ギリシアの王様が、王冠を作る計画をしました。
金細工師に金を渡し、純金の王冠を作るよう命じました。
ところが、王冠を作って王様に渡した後、事件が起こりました。
「金細工師は、金に混ぜ物をして、王様から預かった金の一部を盗んだ」という噂が広まったのです。
疑った王様は、当時最も優秀な物理学者の1人であるアルキメデスに、検証を依頼しました。
王冠を壊さずに混ぜ物がしてあるかを調べるのは、当時は大変困難でした。
アルキメデスは、何日間も風呂にも入らず、方法をずっと考え続けていました。
没頭する様子がひどかったため、見かねた妻はアルキメデスに「気晴らしに風呂屋に行けばどう」と促しました。
アルキメデスは、妻の言うことを素直に聞き、風呂屋に向かいました。
風呂に入ったとき、湯船から水があふれるのを見て、原理のヒントを発見したのです。
さて、この話から得られる教訓は何でしょうか。
「物事は諦めなければ、達成できる」ということでしょうか。
いいえ、違います。
「行き詰まったときは、他人の助言を素直に聞く」ということです。
アルキメデスは、妻の助言を素直に聞いたから、原理のヒントを発見できました。
行き詰まっているときは、視野が狭くなり、考えも偏っている状態です。
「他人の声は邪魔になる」と思うでしょうが、素直に聞いたほうがいいでしょう。
行き詰まったときに他人の助言を素直に聞けば、アルキメデスのように、突破口を見いだす可能性があるのです。
さて、余談ですが「アルキメデスの原理」を使って王冠を検証した結果、混ぜ物がしてあると判明しました。
混ぜられていたのは、銀でした。
金細工師は、死刑になりました。