あなたの周りには、いろいろな物があります。
コップ、本、鉛筆、携帯電話。
毎日見ている物ですから、どれも見慣れていることでしょう。
ところが、見慣れている物だからとはいえ、はっきり思い出せるとは限りません。
毎日接している物でも、思い出そうとすると、意外に思い出せません。
紙幣の柄を思い出してください。
おそらくはっきり思い出せなくて、苦労するでしょう。
信号の赤、青、黄色の順番を思い出してください。
おそらくはっきり思い出せなくて、困るはずです。
頻繁に見ることはあっても、細かいところまでよく見ていないのが現実です。
そこで、あなたが愛用している物を、見つめてみてください。
目安は、1分間です。
1分間、じっと目をそらさず、見続けるのです。
たとえば、いつも愛用しているコップを、1分間見つめてみましょう。
細かいところまで注意しながら、穴があくほど見続けます。
すると、30秒を過ぎたあたりから、見慣れているコップが違って見えてくるでしょう。
普通の形が、いびつな形に見えてくる。
見慣れた色が、違った色に見えてくる。
雰囲気は変わっていないのに、不思議な雰囲気に感じてくる。
じっと見つめると、新しい世界に気づけます。
世の中は、つくづく不思議な世界です。
これを心理学で「ゲシュタルト崩壊」と呼びます。
平凡な日常における、まか不思議な現象です。