「見る」と「観る」は、微妙なニュアンスの違いがあります。
「見る」とは、見物の「見」です。
「単に視界に入ったものを見る」といった、主に相手の外見を、簡単に見るときに使います。
もう1つの「観る」とは、観察の「観」です。
「じっくり慎重に観察する」といった、主に相手の内面をじっくり慎重に観るときに使います。
落ち込んでいる人には「見る」のではなく「観る」ことが大切です。
落ち込んでいるからには、必ず理由があります。
その理由は、言葉に出ることもあれば、言葉には出ないこともあります。
少しでもたくさん話してもらえれば、落ち込んでいる理由もだんだんわかるようになります。
相手が話したいと思っていることは、今まで誰にも言えなかったことかもしれません。
落ち込んでいる原因を人に話しづらいこともあります。
言葉には出さなくても、表情やしぐさ、服装や声のトーンなどに表れます。
相手を見て、できるだけ理解を拾うことが大切です。
せっかく相手が話をしてくれているなら、じっくり耳では聞き取れないニュアンスまで聞き取ることが必要です。
名探偵シャーロック・ホームズは、声を出さない犬の声まで聞いたと言います。
いつもなら大声で吠えるはずの犬が吠えないことに気づき、事件解決に結びつけました。
言葉や声だけに、すべてが表現されるわけではないのです。
相手の内側にある心の声に、耳を傾けてみましょう。
そのためには「見る」ではなく「観る」が必要です。