元気づけるときに、言葉より手書きの手紙のほうが、効果があります。
「手書き」というところがポイントです。
「手書き」の手紙には、心があるからです。
相手の精神的豊かさが、手書きに込められています。
もちろん言葉でも、元気づけることができます。
ただ、手書きの手紙にはかないません。
字の美しさは関係ありません。
「手書き」というところに、相手は心を打たれるのです。
私は留学時代、よく母から手書きの手紙をもらいました。
母は手書きの手紙を書くプロです。
草書のような、きれいな字です。
心を込めて書いたことが、筆跡からすぐわかります。
そのうえ、内容がよい。
どこからとってきた言葉か、いい味が出ているのです。
このいい味は、本人の心から出ています。
心から出た味が、手書きに反映されます。
この手書きの手紙が、涙を誘うのです。
話し言葉には、本当に心からそう言っているのかはわかりませんが、手書きの手紙だけは本気さが伝わります。
この手書きの手紙のおかげで、私は留学生活にずいぶん助けられました。
精神的に助けられました。
自分を思ってくれる誰かがいるというのは、自分の「存在」を確かめることになります。
私がこの世に「存在」していることを誰かが喜んでくれているというのは、この上ない元気づけになるのです。
相手を元気づけるとき「能力」より「存在」に感謝することが大切です。
私も母を真似して、友人との会話には「出会えてよかったよ」と言って、相手の「存在」に感謝するようにしています。
「自分は存在する価値があるんだな」と思うことで、元気になれるのです。