日本には「お茶」という世界に誇る飲み物と文化があります。
お茶をすすって飲むのは、日本では文化として広く受け入れられています。
茶道では、流派にもよりますが、飲む際にわざと「ずるずる」と音を立てていただく作法さえあります。
またそばやうどんも、すすっていただくほうが、より日本的でおいしそうに聞こえます。
すすって飲んだり食べたりする文化があるのです。
それはそれで、日本の素晴らしい文化であり、美徳の1つです。
そうした習慣が強いためか、ほかの飲み物でもすすって飲んでいる光景を見かけることがあります。
たとえば、コーヒーです。
コーヒーは日本のものではなく、元は外国から入ってきたものです。
コーヒーは、日本のお茶とは違い、すすって飲むものではありません。
コーヒーをすすって飲むことがどれだけかっこ悪いことなのか想像してみましょう。
『007』シリーズの主人公ジェームズ・ボンドがコーヒーをすすって飲んでいたら、すごくかっこ悪いです。
「ずるずる」という音を立ててコーヒーを飲んでしまっては「コーヒーお茶」になります。
コーヒーなのか、お茶なのか、よくわからなくなってしまいますね。
私はコーヒーが大好きですから、よくコーヒーショップへコーヒーを飲みに行きます。
店内でコーヒーを飲みながら読書を楽しんでいると「ずるずる」というすすって飲む音が聞こえ、いつも違和感を覚えるのです。
「ずるずる」という音で、コーヒーショップ内の独特の雰囲気が急に白けてしまうのです。
そういうささいなところに品性が表れるのです。