「セルバンテス」という作家をご存じですか。
名作『ドン・キホーテ』を書いた作家と言えば、思い出す人も多いのではないでしょうか。
私がお話ししたいのは『ドン・キホーテ』の物語ではありません。
セルバンテスの人生物語です。
セルバンテスは、歴史上でも大きな波のある人生を送った人です。
私は彼の波のある人生を知ったとき、あまりの変容ぶりに驚きました。
しかし、すべて実話です。
彼の生きたあらすじをご紹介します。
1547年、セルバンテスはスペインで生まれました。
スペインの都心部近くに住んでいたため、いい場所でしたが、セルバンテスの父はしがない外科医だったため、とても貧乏でした。
父が医者なのに、貧乏なのも珍しいです。
家が大変貧しかったため、学校教育はほとんど受けていません。
基本的な読み書きくらいしかできず、苦労が多かったといいます。
1569年には故郷のスペインを離れ、イタリアへ向かい、枢機卿の家来になります。
1570年から戦争があったので、やむなく兵隊として戦いに行くことになりましたが、ここで悲劇は訪れます。
1571年のレパントの海戦で、左手を失ってしまいます。
戦う兵士にとって、手の損失は重大です。
1575年にようやく戦争が終わって、帰国しようとしますが、さらなる悲劇が襲います。
帰国途中で海賊に襲われ、捕虜になってしまいます。
その結果、アルジェリアで奴隷生活を送ることになります。
まだまだ悲劇は続きます。
1580年には身請けされたため、5年間ほどの奴隷生活が終わり、ようやく故郷スペインに帰国できました。
1584年には、18歳も年下の女性と結婚します。
すぐ、小説『ラ・ガラテア』という処女作を出版します。
その後もいくつかの作品を書きましたが、文筆を捨てて、海軍の雑務や税金の取り立ての仕事をします。
ところが仕事の会計で大きな失敗をしてしまったため、監獄に入れられます。
悲劇が終わって、まだ悲劇です。
こんな悲劇の多い人生でも生きていけるのですね。
そんな投獄中に書き始めたのが『ドン・キホーテ』です。
悲劇が多い人生だったから、楽観的な文学ができたのかもしれません。
この作品が世間に大きく受け入れられ、ようやく生活は豊かになります。
あなたの人生はいかがですか。
セルバンテスの変化の激しい人生に比べれば、私たちの人生は平穏そのものです。
電車がくるのが遅れたことや遅刻していらいらしたことなど、かわいらしいことです。
どれも茶番劇です。
セルバンテスの人生に比べれば、大したことはないのです。