自分の好きなこと、すなわち才能を磨くときに、誰かと競争してはいけません。
競争をすると、自分のペースが崩れてしまい、自分ではなくなります。
どのくらいの時間にどのくらいの集中でやればいいのかは、本当は自分が一番よく知っています。
しかし、他人との競争を意識し始めてしまうと「負けてなるものか!」と余計なアクセルを踏み込んでしまうことになるのです。
車の運転と同じように、隣の車と「負けてなるものか!」とスピード争いをしていると、交通事故につながります。
余計な闘争心は、常に事故の元凶です。
自制心を失う瞬間です。
私も自分が本を書いているときには、書く量や書いている時間を、ほかの作家と比べることはありません。
というより、しないようになりました。
しないほうが自分らしく書け、集中できることに気づいたからです。
「勝つこと」や「数字」だけに意識が向いてしまい、せっかくの目の前にある文章そのものに集中できなくなってしまったのです。
もはや目的が書く楽しみではなく「ただ勝つことのみ」が目的となり、味気なくなってしまったのです。
なにより疲れます。
競争に意識が向いていると、余計なところで精神力を削ってしまうことになり、精神的なストレスも大きくなってしまうのです。
たしかに競争は、一時的にはよい効果をもたらします。
それはあくまで、一時的な効果です。
人生を見据えたライフワークでは、競争は悪魔のささやきになるのです。
受験では「競争」をすると勉強がはかどるといわれています。
私も学生時代は競争しながら勉強をしたことがあります。
勉強ははかどりますが、大きなストレスがかかり、一時的に効果はあっても長期的に燃え尽きそうになります。
受験生は、競争である受験勉強が終われば、みんな逃げるように勉強をしなくなります。
なぜ受験が大変なのかというと、競争であるからです。
なぜ受験が終わればみな勉強をやめてしまうのかというと、競争によって疲れてしまったからです。
才能は楽しむことであって、競走することではありません。
競争は、短期的に効果はあっても、長期的には注意が必要です。
常に自分のペースを一番の基準にして、物事を進めていくことです。
勉強に限らず、読書や趣味も仕事も同じです。
自分の理解や成長に合わせたペースでなければ、吸収できることも吸収できなくなるのです。