私は、小学生のころ、学校の帰りに、よく寄り道をしていました。
学校の帰り道というのは、開放感があり、つい道草をしてしまいます。
「今までと違った道を歩いてみよう。この先には何があるのかな」と、トムソーヤの冒険をしているようでした。
なぜ、学校帰りの道草は楽しいのでしょうか。
それは「脱線」だからです。
今までと同じ道では、新しい発見がありません。
決まりきった道や決まりきった風景などは悪いことではありませんが、さすがに毎日繰り返し見ていると、飽きてしまいます。
そうしたとき、つい寄り道をしてしまいます。
たまには違った道から帰ってみると、思いもしない抜け道があったりします。
いつもは通りすぎてしまう川でも、よく見てみると、魚が泳いでいることに気づきます。
魚を見たら、好奇心のある私は黙ってはいません。
学校から帰るだけだというのに、家に着くころには、よく泥んこになって帰ってきたものでした。
帰り道の距離が長くなってしまっても、楽しんでいましたから、全然気になりませんでした。
今思えば、そんな寄り道が、私に「学校では教えてくれないこと」を教えてくれました。
学校では、先生に「寄り道をしないで、まっすぐ家に帰りなさい」と言われます。
しかし、本当にまっすぐ帰ることは、正しいけれど、面白くないのです。
子どもたちが喜ぶのは「学校では教えてくれないこと」です。
「テストで良い点を取りなさい」と学校では教えこまれますが「悪い点を取りなさい」とは教えてくれません。
悪い点を取ってもいいのです。
悪い点を取ることで、自分にできない部分がわかっただけでも、子どもには大発見です。
しかし、学校では教えてくれません。
叱られます。
ストレスで学校からの帰り道に、寄り道をしたくなってしまうのです。
それで、脱線したくなるのです。
電車は脱線してしまうと、事故になってしまいますが、人生での脱線ではその人に、個性を与えてくれます。
学校では、みんなと同じようになるために強制させられます。
しかし、みんなと同じでは面白くありません。
寄り道をしてみることで、新しい発見ができれば、どんどん寄り道をしてもいいのです。
私は学校帰りの寄り道で「脱線」の大切さを学んだのです。