小学生のころ、実家で飼っている犬の不思議な習性がありました。
「わんわん」
いつも夕方ごろになると、決まって突然吠え始めます。
「かまってもらいたいのかな」と思って近づいて、頭をさすっている間はおとなしくなります。
しかし、その場を離れると、また吠え始めます。
祖父に「なぜ」と尋ねたところ「散歩や食事の時間がいつも同じだから」と言いました。
実は「散歩の時間ですよ。食事の時間ですよ」という犬からの合図でした。
特に飼い主が、いつも決まった時間に散歩したり食事を与えたりしていると、よく起こる現象です。
「規則正しい」と言えば聞こえはいいですが、必ずしもいいことばかりとは限りません。
規則正しすぎるから、よくないこともあります。
私は、犬の食事と散歩をいつも決まった時間にしていましたが、よくありませんでした。
犬が生活サイクルを正確に覚えすぎてしまった。
そのため、散歩や食事の時間がほんの少しずれただけで、不安になって吠えてしまいます。
やはり飼い主とはいえ、用事があって食事の時間が遅れることもありますし、たまには散歩に遅れることもあります。
規則正しく与えたいところですが、そうもいかないこともあるでしょう。
少しくらい散歩や食事の時間が遅れても我慢できる犬にしつけなければいけません。
そこで私の場合、散歩や食事の時間を「わざと」ずらすようにしました。
しばらくは吠える声が大変でしたが、少し早めたり遅らせたりしているうちに、おとなしくなりました。
犬は「そういうこともあるだろう」と寛容になります。
人間社会で時間にルーズなのは問題ですが、犬に対してはあえて少しルーズになるほうが、ちょうどいいようです。