文学が面白いのは、言葉です。
言葉を、うのみにするのではありません。
言葉の裏にある別の意味を探るのが、面白いところでもあります。
たとえば、次の文章があるとします。
「彼女は、悲しい顔をした後、にっこり笑顔を浮かべた」
この一文を、どう解釈するかです。
心情が変化する様子はわかりますが、どう変化しているのかは、いくつかの解釈ができます。
本当は悲しいけれど、わざと強がった姿なのかもしれません。
不安を感じた後、やましい考えが浮かんだのかもしれません。
さまざまな解釈ができるため、読んでいて飽きないのです。
恋愛も、文学のようなものです。
好きな人に接するときには、深い意味が含まれた言葉が、よく登場します。
たとえば「休日には何をしているんですか」と聞かれたときです。
単に、休日の予定を知りたがっているとは限りません。
休日の予定を聞くことで、付き合っている人がいるのか、確かめようとしているのかもしれません。
「どんな人がタイプですか」と聞かれたときです。
単に、好きなタイプを知りたがっているとは限りません。
気があることを伝えようとしているのかもしれません。
「かっこいいですね。かわいいですね」と言われたときです。
単に、褒めたとは限りません。
「あなたは私のタイプです」というメッセージを伝えようとしているのかもしれません。
恋愛の一言には、別の意味が込められていることがあります。
言葉の裏を探りながら進めると、恋愛は文学作品を読んでいるかのような気分になるのです。