執筆者:水口貴博

子どもの「外遊び」のすすめ

18

「スクリーンで見る立体」と「現実世界の立体」は、脳には似て非なるもの。

「スクリーンで見る立体」と「現実世界の立体」は、脳には似て非なるもの。 | 子どもの「外遊び」のすすめ

テレビは、便利な道具です。

何が便利なのかというと、移動せずとも、1つのスクリーンからさまざまな情報を音と映像を伴って見ることができるからです。

テレビをぼうっと眺めるだけで、次々と世間のさまざまな風景を目にできます。

さまざまな映像や音を発するテレビは、まさに脳を活性化させる救世主と思われます。

しかし、本当にそうでしょうか。

実は、必ずしもそうとは言い切れません。

最大の問題点は、テレビのスクリーンはあくまで「平面」ということです。

「平面」と「立体」は違います。

テレビの中で映るさまざまな風景には遠近感がありますが、人の目には「本当の立体」として映ってはいません。

人間の目は、2つありますね。

右目と左目とでは、若干見える映像が異なります。

この「左右それぞれで見える映像が若干異なる」というのが、重要なポイントです。

では、試してみましょう。

まず右目を開いたまま、左目を閉じてください。

次は逆に、左目を開いたまま、右目を閉じてください。

どうでしょうか。

見える映像が、わずかに異なっていることがおわかりでしょう。

左右の目の位置が異なるため、当然見える映像もわずかに異なります。

しかし、両目で見ているとき、見える映像が異なっているにもかかわらず、まったく違和感がありません。

なぜでしょうか。

それは、脳の中で自動的に「合成処理」がされているからです。

この合成処理は、高度な処理です。

右目と左目とで見える画像の違いを、脳の中で合成し、そのとき立体感も同時に生み出します。

このおかげで、私たちは遠近感を正確に把握してみることができます。

では、スクリーンに映る立体の場合はどうでしょうか。

スクリーンを見る場合でも、やはり右目と左目とでは若干見える映像が異なります。

しかし、見ているのは「スクリーン」に対してです。

スクリーンそのものは、遠近感を伴って立体に見えています。

スクリーンの中の映像までは、脳の中で本当の立体物としての認識はありません。

「ぼかし」や「重なり」という画像を駆使して、立体的であるかのように見せているだけです。

あくまで、立体に見える平面です。

「スクリーンで見る立体」と「現実世界の立体」は、脳には似て非なるものです。

脳の健康のために、テレビばかりを見させても、本当に脳を活性化させているとは言えません。

脳の合成処理機能を低下させてしまうことになります。

やはり現実世界のさまざまな風景を、ありのまま見るのが一番です。

空に浮かぶ雲や遠くにある建物や山を見ることで、脳の合成処理が活性化され、脳の健康によい影響を及ぼすのです。

子どもの「外遊び」のすすめ(18)
  • 1日中、テレビばかりを見続けるのは、やめる。
どんなにテレビが進化しても、現実世界の刺激にはかなわない。

子どもの「外遊び」のすすめ

  1. 外遊びには、子どもが生きる力に必要な要素がすべて備わっている。
  2. 家の中のゲームだけでは、生きる力を身につけられない。
  3. 自信は、外で遊んでいれば、自然と身につく。
  4. とりあえず行動していれば、自然と話は広がっていく。
  5. 現代は豊かだ。
    それをわからせるには、野外キャンプの体験が一番。
  6. 進んだ現代社会だからこそ、昔の遊びを教える価値がある。
  7. 力任せでは勝てない昔のゲームでは、慣れた大人ほど有利になれる。
  8. 四季のある日本だからこそ、特に外遊びはおすすめ。
  9. なぜ大都会ほど、大自然があるのか。
  10. 自然の音を聞くと、子どもは強く育つ。
  11. 旅行が難しいなら、せめて日帰りのピクニックくらいならできるはず。
  12. 犬と散歩しているときに、口喧嘩は起こらない。
  13. 畑仕事を手伝わせると、不思議と味覚が研ぎ澄まされる。
  14. スポーツは、体の運動だけではない。
    脳の運動でもあった!
  15. 団体競技はどれも、頭を鍛える頭脳ゲームだ。
  16. 免疫力を高めるためには、清潔すぎてはいけない。
  17. 部屋の中は、刺激が限定されやすい。
  18. 「スクリーンで見る立体」と「現実世界の立体」は、脳には似て非なるもの。
  19. どんなにテレビが進化しても、現実世界の刺激にはかなわない。
  20. エアコンは、人の生活を便利にする。
    しかし、頼りすぎると不便にする。
  21. 国語の読解力は、経験が豊富なほどイメージが鮮やかになる。
  22. 体験を優先すると、必ず後で追い上げる力になる。
  23. 立って歩けるようになれば、外遊びをしてもいい時期。
  24. 子どもが泥んこになって帰ってくるのは、一生懸命に外で遊んで帰ってきた証拠。
  25. 真っ暗闇だからこそ、あらゆる怪物をイメージさせられる。
  26. なぜ、ウォーキングマシンは、続きにくいのか。
  27. 門限があるから、遊びの密度が濃くなる。
  28. 私たちには「新しい刺激に触れて、自分の領域を広げたい」という野心と冒険心が眠っている。
  29. 子どもの持ち物に名前さえ書いておけば、迷子になっても怖くない。
  30. 成長のために「遠くへ行ってみたい」と思う子ども。
    安全のために「遠くへ行くな」という親。
    この矛盾が問題だ。

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