執筆者:水口貴博

不況を乗り切る経営者の30の心得

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楽をして成長を急ごうとする企業は、不況にもろい。

楽をして成長を急ごうとする企業は、不況にもろい。 | 不況を乗り切る経営者の30の心得

台風が来たとき、折れる大木と折れない大木があります。

どちらも大きな大木です。

大きさも同じくらい。

しかし、台風のような強い風が吹いたとき、一方は折れて、もう一方はびくともしません。

なぜこうした差ができるのか。

折れる大木は、根が貧弱で、浅いからです。

往々にして人工植樹でよく見かける光景です。

基礎が弱く、本当に強い土台が出来上がっていません。

人工的な薬品などを使って、成長を早めた木は折れやすくなります。

成長を早めた木は、自然災害に弱い。

本来、植物は、土からの栄養を吸収して、土の上の木へと送られます。

根から送られてきた栄養をもとに、茎を伸ばし花を咲かせます。

しかし、人工的な薬品などを使っていると、土から吸収しなくても、栄養を取ることができるようになります。

栄養は取れますが、根の広がりが小さくなります。

人工的な栄養によって、成長は大きくなりますが、成長は土の上だけ。

土の下の根は、貧弱なままです。

土の上と下とは、成長の具合がアンバランスになっています。

それに比べ、自然の大木は折れません。

自然の大木は、土から栄養を吸収して大きくなります。

大きくなるためには、さらに栄養が必要です。

そのとき、根はさらに深く、さらに広く伸びようとします。

その根の深さや広がりは、栄養の吸収力と同時に、力強い土台へと変わっている。

土の下が伸びて、次に土の上が伸びる順がきちんとしています。

月日をかけて、成長した土からの栄養をじっくり吸収し、着実に強い根を生やします。

長い時間をかけることの素晴らしさです。

本当の成長は自然のように時間がかかりますが、台風が来たときにも折れない木ができます。

企業でも同じです。

急いで成長する企業は、不況にもろいです。

取り急ぎ、売り上げアップを急いでいるので、企業としての土台を作る時間がありません。

売り上げがいいからと、レストラン経営で店舗数を増やし、急拡大するケースがあります。

店舗を増やせば、たしかに売り上げも上がることでしょう。

しかし、どこか楽をして、成長を急ごうとする戦略はよくありません。

不況が来たときに一気に裏目に出るからです。

急いで広げたため、すべての店舗に気を配る余裕がなくなります。

さまざまな障害が一気に表面化します。

社員の教育不足。

商品の質の低下。

基礎の部分がおろそかになり、赤字経営になってしまいます。

土台が崩れれば、どんなに大きなピラミッドも崩壊です。

本当に急成長をするなら、それ相応の努力が必要なのです。

不況を乗り切る経営者の心得(8)
  • 時間をむやみに急がず、時間をかけて成長する。
時間のかかった成長ほど、不況に強くなる。

不況を乗り切る経営者の30の心得

  1. 大不況こそ、企業の害毒を一掃する最高の機会。
  2. 経済を変えようとするのではなく、会社内部を変える。
  3. 過去の成功にしがみついている企業は、一瞬で不況の波に飲み込まれる。
  4. 不況に合わせて事業内容を変えることが、一番の不況対策。
  5. 給料が上がらないのは「期待を超える仕事」をしていないから。
  6. 「国や政府が助けてくれる」という期待は捨てる。
  7. 不況時、本物は生き残り、偽物は消えていく。
  8. 楽をして成長を急ごうとする企業は、不況にもろい。
  9. 時間のかかった成長ほど、不況に強くなる。
  10. 手抜きをしがち見えない部分を、あらためて強化しよう。
  11. 「強い者、頭の良い者が生き残るのではない。
    変化するものが生き残るのだ」
  12. もたもた始める改善は、思ったほど不況対策にはならない。
  13. コンコルドの失敗には、不況を乗り切る教訓が隠されている。
  14. 社員が陰で会社の悪口を言っているところは、倒産しやすい。
  15. いくら不況でも、お客さまへのサービスは手を抜かない。
  16. 不況を乗り切るには、お客さまへのサービスを強化・充実させればいい。
  17. 不況のときこそ、海外旅行へ行け!
  18. 「辞めたい」という社員を、無理に引き止めない。
  19. 不況の突破口は、お客さまからのクレームだった。
  20. 大不況のときこそ、社長は一番元気でいなければいけない。
  21. 頑張った人を表彰するイベントを、定期的に設ける。
  22. 現金をもらって、嬉しくない人はいない。
  23. 「不況」「不景気」という言葉は、禁句にする。
  24. お金に余裕がないとき、判断力は著しく低下する。
  25. 無理な買わせ方で売り上げを伸ばした会社ほど、不況時にあえぐ。
  26. 本当にお客さまの役に立ち、喜ばれている会社に、不況は関係ない。
  27. 調子が悪いときほど「夜遅く」ではなく「朝早く」。
  28. 希望退職者を募集すれば、穏便に人の削減が可能になる。
  29. いきなり人を切らない。
    「ワークシェアリング」と「教育」で乗り切れ!
  30. 不況とは、忘れかけていた何かを思い出させてくれる時期。

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