執筆者:水口貴博

スーツを長持ちさせる30のお手入れ

19

なぜ、汗とほこりは、スーツの大敵なのか。

なぜ、汗とほこりは、スーツの大敵なのか。 | スーツを長持ちさせる30のお手入れ

スーツの寿命を縮める原因の代表は、2つあります。

汗とほこりです。

「スーツに汗が付着すると、寿命を縮める。きちんと虫干しをしよう」

「ほこりはスーツを傷める。こまめにブラッシングをしよう」

そうしたスーツの手入れのアドバイスを、一度は聞いたことがあるでしょう。

ところで、ここで疑問が浮かびます。

普通に考えれば、さほど、大敵とは思えないのではないでしょうか。

汗で湿ったとしても、乾燥すれば、元に戻りそうな気がします。

ほこりも、きちんとブラッシングすれば、汚れは落ちるはずです。

たしかに感覚としてはそうかもしれませんが、誤解です。

汗とほこりの悪影響は少し奥が深く、単純な話ではないのです。

最大の問題点は、ペーハー値。

汗の湿気も問題ですが、それ以上に問題なのは、汗のペーハー値です。

汗は基本的に、弱酸性です。

ところが、脂っこい食事に偏っていたり、運動不足で汗をかく習慣がなかったりする人は、状況が変わります。

汗にミネラル分が混じるため、アルカリ性に傾きます。

スーツの素材はアルカリ性が苦手であり、触れると、スーツの劣化を早めます。

アルカリ性は、タンパク質を溶かす性質があります。

アルカリ性の温泉に入ると、肌がぬるぬるするのは、皮膚のタンパク質が溶けているからです。

こうした状況がスーツでも起こると思えば、いかに悪影響であるか、想像できるでしょう。

ウール・シルク・カシミヤなど、タンパク質が含まれる動物性繊維は、わずかなアルカリ性でも敏感に反応します。

あっという間に劣化させ、素材をダメにするのです。

ちなみに、ほこりのペーハー値もアルカリ性であり、悪影響は同じ考え方です。

さらにやっかいなのが、一度色あせたスーツは、元に戻せないことです。

ボタンが取れれば、縫い直して補修できますが、スーツの色あせは、対処が不可能です。

こうした事情から「汗とほこりはスーツの大敵」と言われているのです。

私たちにとっては、普通に感じる汗とほこりですが、スーツにとっては、恐怖の存在なのです。

スーツを長持ちさせるお手入れ(19)
  • 汗とほこりが、スーツの大敵である理由を理解する。
スーツに付いた小さな繊維は、どう取るか。

スーツを長持ちさせる30のお手入れ

  1. スーツに愛情を抱くことが、手入れをする第一歩。
  2. 自分の体型に合ったスーツを買うことが、スーツの寿命を長持ちさせる基本。
  3. 木製ハンガーを買う余裕がないときの、優先順位。
  4. 立派な木製ハンガーから、スーツの手入れに対するやる気をもらう。
  5. 思わぬアクシデントで、ワイシャツが汚れたときの対処方法。
  6. スーツを長持ちさせる、3つの便利なアイテム。
    除湿剤・消臭剤・防虫剤。
  7. 除湿剤・消臭剤・防虫剤の設置で、満足していませんか。
  8. 行きつけのクリーニング店では、追加の補修サービスを行っているか。
  9. クリーニング店の選び方が、スーツの寿命を左右する。
  10. 素材に応じて、手入れの度合いも変化させる。
  11. どんなに高価なスーツでも、しわだらけでは不格好。
  12. ジャケットを長持ちさせたければ、ワイシャツは、半袖より長袖。
  13. スーツの膝や肘のてかりを、何とかしたい。
  14. 肘をつく癖が、ジャケットの消耗を早める。
  15. 疲れたスーツを着ると、疲れやすくなる。
  16. アイロンでは、硬水を使わないこと。
  17. ジャケットをハンガーに掛けるときにボタンを留めない、3つの理由。
  18. 本当に太陽の直射日光を避けているか。
  19. なぜ、汗とほこりは、スーツの大敵なのか。
  20. スーツに付いた小さな繊維は、どう取るか。
  21. 忙しくても、これだけは押さえたい3つの手入れとは。
  22. 外回りが多ければ、スラックス2枚持つ方法もある。
  23. 「できない」という意味を、誤解していないか。
  24. ジャケットの胸と脇のポケットは、基本的に飾りと考える。
  25. 体型に合わなくなったスーツは、できれば買い換える。
  26. ベルトを通す穴が痛みやすい人にありがちな、ある状況。
  27. ワイシャツは、消耗品と割りきったほうが楽。
  28. 邪魔と感じても、取り扱い絵表示のタグは切り取らない。
  29. 長期保管していたスーツは、きれいであっても、そのまま着ない。
  30. 気持ちが緩んで、手入れの質が悪くなっていないか。

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