執筆者:水口貴博

自立できる子どもに育てる30の教育法

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育て上手な親は、子どもと「つかず離れずの距離」を取る。

育て上手な親は、子どもと「つかず離れずの距離」を取る。 | 自立できる子どもに育てる30の教育法

子どもとくっつきすぎている親を「過保護」と呼びます。

子どもと離れすぎている親を「放任」と言います。

子どもを自立させる親は、くっつきすぎず離れすぎず、うまい具合に子どもとの距離を保っています。

「つかず離れず」の距離です。

べったりくっつきすぎても居心地が悪いし、だからとはいえ離れすぎていても悲しくなります。

お互いが最も心地よい距離を確保できることが、お互いにとって一番理想的です。

これを心理学では「ヤマアラシ・ジレンマ」と言います。

ヤマアラシは、寒い冬の中、体温を逃がさないために体同士を寄せ合います。

しかし、体を寄せ合うと、お互いのとげが刺さって、傷つけ合うことになります。

とげが刺さらず、なおかつ体温を逃がさないためのちょうどよい距離が、一番理想的な「つかず離れず」の距離です。

このつかず離れずの距離を、子育てにもうまく活用してみましょう。

子どもと親との距離は、難しい定義と思われがちですが、簡単に見つける方法があります。

さっきのヤマアラシと同じように、まず近づきすぎてみましょう。

思春期の子どもなら、すぐ嫌な顔をします。

そうしたら、少し離れて見るのです。

実際の人と人同士の距離ではありません。

「心と心の距離」です。

離れすぎていると感じれば、心が冷たく感じます。

そのときに、再び少し近づいてみるのです。

そうすることで、だんだんお互いの理想的な距離がつかめてきます。

特に子どもを自立させるためには、この距離がキーポイントです。

今は亡き、長谷川町子の有名な漫画『サザエさん』では、1つ屋根の下で、お互いの距離をうまく取っています。

『サザエさん』の家族は、お互い同士がちょうどよい距離を取っているのです。

いつもカツオはテストで悪い点を取って、サザエさんに叱られます。

それでも、サザエさんの目を盗んで、野球をするためにこっそり家を抜け出そうとします。

そんなときに「待ちなさい」とサザエさんにいつも見つかる、という話の流れがあります。

カツオが何とか野球をするために家を抜け出そうとする姿は、自立しようとする姿です。

カツオは何だかんだ叱られても、それでもやりたいこと(野球)のために一生懸命抜け出そうとします。

しかし、しっかりカツオは家に帰ってきます。

テストで悪い点を取って、ワカメちゃんには笑われ、お父さんにも叱られます。

カツオは叱られることがわかっていても、しっかり帰ってくるのは、やはり家族の輪の中が一番居心地いいからです。

「つかず離れず」の距離でお互いが温め合い、1つの輪を構成しているのが「家族」です。

漫画『サザエさん』では、そんな理想的な家族を描いている手本だったのです。

自立できる子どもに育てる教育法(11)
  • つかず離れずの距離を、漫画『サザエさん』から、学ぶ。
「ダメな子」と言うと、子どもがダメになる。
「それでいいんだよ」と言うと、成長する。

自立できる子どもに育てる30の教育法

  1. 子どもは、自分から自立していく。
  2. 勉強は、学校で学ぶ。
    感情は、家庭で学ぶ。
  3. 甘えさせてもいい。
    ただし、甘やかしてはならない。
  4. 「難しい」と答えると、子どもは自立できない。
    「簡単」と答えると、子どもは自立する。
  5. 子どもは、親の真似をする。
    自立した親からは、自立さえも真似をする。
  6. 「痛み」を経験することで、免疫ができる。
  7. 親が笑うと、子どもは安心する。
  8. 子どもの経験を、親が横取りをしない。
    自分のことは、自分でさせるだけでいい。
  9. 子どもに押し付ける親は、失敗する。
    子どもに任せる親が、慕われる。
  10. 「子どもを理解する親」が、愛される。
  11. 育て上手な親は、子どもと「つかず離れずの距離」を取る。
  12. 「ダメな子」と言うと、子どもがダメになる。
    「それでいいんだよ」と言うと、成長する。
  13. 親の口癖は、人生の教訓。
  14. 働く姿を見せると、子どもは自立できる。
  15. 自分の部屋を持つことで「管理能力」を養うことができる。
  16. 自立するために必要なのは、親離れより子離れ。
  17. 子どもにあえてお金を持たせることで、金銭感覚を磨かせることができる。
  18. 「叱る教育」ではなく「褒める教育」をする。
  19. 聞くは一時の恥。
    聞かぬは一生の恥。
  20. 大事な場面での沈黙が、子を育てる。
  21. 勝ち負けより、全力を出し切ったかどうかが大切。
  22. 「大丈夫」と言うだけで、子どもの可能性は広がっていく。
  23. 自分のことを教えてくれる一番の先生は、自分だ。
  24. 学生の仕事は「勉強」だ。
  25. 子どもの長所は、好きなだけやらせるときに、大きくなる。
  26. 「何になりたいか」より「何がしたいのか」。
  27. 家族旅行で、親の自立した姿を見せることができる。
  28. 「自問自答」できる人が、自立する。
  29. 「かわいい子には、旅をさせよ」
  30. 泣きたいときには、泣かせてあげよう。
    泣くことで、子どもは強くなる。

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